第11話「地獄町防衛戦! 魔族大軍襲来と“元番長”の誓い」
王都南西、地獄町エリア――
そこは今、かつての喧嘩町から生まれた“異世界の奇跡”と呼ばれていた。
だがその空に、黒煙と共に巨大な影が現れる。
魔族軍――かつて神堂龍也が魔王をぶちのめしたことで、いったんは混乱したはずの魔族勢力が、今度は報復として大軍を動かしてきた。
「数、5万!? 馬鹿じゃねぇのか……」
風神・颯斗が屋上で風を読みながら呆れる。
「王国騎士団は動かねぇんだろ? あいつら、結局腰抜けじゃん」
レンがバイクにまたがりながら吐き捨てる。
「なら、やるしかねぇな」
拳を鳴らすのは――黒崎タケシ。
かつて地獄町連合の初代リーダーを務めた、もう一人の「番長」。
神堂龍也が一時的に姿を消している今、彼が再び前に出る。
「ここが、俺たちの“街”だ。誰にも好き勝手やらせねぇ」
「タケシ、お前……」
「龍也がいねぇ間は、俺が前に立つ。筋は通す、それがウチの流儀だろ」
そう言って、タケシは廃ビルの屋上から飛び降りた。
――着地と同時に、地が砕ける。
「来いよ魔族共ォ!! 王都は通さねぇ、ここが最前線だッ!!」
連合メンバーも動き出す。
アキラは結界砲台を即席でネットワーク連結、
レンは空を飛ぶ魔物を爆炎ライダーで次々撃墜。
颯斗が街の風を操り、敵の侵攻を逆流させ、
千尋は一言も喋らず“睨む”だけで指揮官級を昏倒させていく。
一方、激戦の中。
子供を庇って重傷を負った少年兵に、タケシが駆け寄る。
「兄ちゃん……なんで、あんな無茶……」
「バカ野郎……。守るためだよ」
――そう、昔も今も。
タケシは「守るため」に喧嘩をしてきた。
街の仲間、後輩、家族みたいな連中を――
そしてその時、
空から隕石のように何かが落ちてくる。
いや、違う――誰かが飛び降りてきていた。
「遅れて悪ぃ……やっと終わった」
そこに立っていたのは――神堂龍也。
「大魔王の残党、本拠地ごと潰してきたわ」
「……またお前は!」
「でもよ、タケシ。アンタがここ守ったの、正解だわ。いい街になってる」
笑う龍也に、タケシも笑う。
「まだ“喧嘩の時間”は終わってねぇみたいだな」
「おう。全員、ぶっ飛ばすぞ!!」
そして――夜が明けた頃、
魔族の軍は跡形もなく消えていた。
地獄町連合、異世界最大の防衛戦に勝利。
【ニュース速報:王都軍、出動せず】
代わりに立ち上がった“地獄町連合”が街を救う!
いま異世界で一番信頼できる組織、それは――元ヤンの集まりだった!?
次回予告
第12話「“聖女”と“地獄町”――禁断のスカウト作戦」
神聖教会の聖女が、地獄町連合に加入希望!? 街の秩序と不良の魂が激突する、異色の邂逅!