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【鏡の中の…………】

「それじゃあ、行ってくるね。お留守番よろしくね」


「うん、行ってらっしゃい!」


 パタリ、と玄関の扉が閉じられ、鍵がかかるのを見て、僕は静かに廊下を歩き始める。そのまま階段をのぼり、両親の部屋に入る。棚周りを探す内、古く見える黒々とした小さな鍵を見つけた。それから踵を返し、不自然に壁に付けられた扉の前に立った。

 手に握られた鍵を錠前に差し込むと、すんなりと鍵は外れ、扉を少し開いて中を覗く。階段が下へ伸び、石垣のような地面が顕になっている。


 ゆっくりと、一段一段下りていく。時偶苔が靴下ごしに感じられるので、「うぇっ」と声をこぼしつつ。

 最後の一段を降りきって、もう一枚扉をくぐり抜けると、そこは薄明るい地下室だ。上の方に小さな小さな窓があり、そこから光がほんのりと差している。


 埃っぽいその部屋には、使われていないであろう小物や本が乱雑に置かれている。棚が何個かあるが、どれも箱が並べられているだけだ。

 探検気分でここに来たはいいものの、鼻がムズムズする。手早く物色を済ませて帰ろう。


 先ずは散らばった小物達。ランタンや一本だけあるマッチ箱、読めない字で書かれた本。古ぼけて酸化した紙切れ。僕は肩にかけたポシェットの蓋を開けると、小さなランタンと何も書かれていない本、それから、龍が描かれた紙切れを、それに入れた。

 立ち上がって、今度は棚の箱を開けてみる。中には、恐らく母が祖母が使っていたであろう玩具の化粧台や、僕の小さい頃のぬいぐるみが入っていた。父のタイプライターも入っていて、でも僕が取っておきたいものは無かったので、元の場所に戻した。


 そろそろ上に戻ろう、と踵を返す。



「…………あれ、鏡?」


 奥の方に、縦長の鏡があるのを見つけた。微かに光っている。変だな、と思いつつも、好奇心にかられ僕は近付いた。


 その鏡は丁度僕の全身をすっぽりうつす位の大きさで、でも、それにうつっているのは僕ではなかった。

 光る鏡には、どこまでも広がる草原。時折花や木々の葉が風に揺られて、花弁が散っていく様が見えた。僕は無意識にそれへ手を伸ばし──────




 僕はこの瞬間、記憶も名前も捨てることになった。

 自分の知りもしない新たな旅路を、世界を、人々を、知る権利だけ与えられて。目を覚ましたら最後、僕はどうなっているんだろうか。

 選択者さん達に朗報です。この世界、出てくる人物の名前は殆ど中国語なので、気になったら調べてみると良いですよ。

 それと、これリメイクなので。投稿頻度遅くなりそうですけど、待っててください。

by.グラータ

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