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闇の中、願う希望

作者: ryoxile.anather
掲載日:2010/02/14

全て消えてくれれば、あの闇の中へ。どんなに気楽な事だろう。太陽が照らせば、全てが晒される。どんなに残酷な事だろう。


「意味、分からんわ……ボケが」

悪態をついてみた。よく叱られた、口が悪いなんて言って。

今は俺の近くに誰もいない。通夜が終わってその後片付けをしているだろう。身内の人間で、手伝いを放棄したのはおそらく俺だけだ。

夜明け前の暗がりの中、あまり来た事のない公園のベンチに座っている。中学の頃から吸っていた煙草の火種が、闇の中で優しく灯る。

赤って、すごいよな。色の濃淡が違うだけで、優しくも怖くも見えるんだから。

黒はどうだろうか?  他の奴がどう思うかは知らないが、どんな濃淡だったとしても俺はいい印象を持たない。

絶望、孤独、終焉、死。連想ゲームなら、ネガティブな答えが出てくる。

黒の空に、鬱憤と一緒に煙を吐き出す。シアン化物、タール、ニコチン、二酸化炭素。吐き出して、吸収して。俺の中から出てくれないのがどうしようもない憤り。俺の中から消えてくれないのが強過ぎる消失感。

そうして俺は、新品だった煙草を吸い尽くしていた。

ポケットを探り、手持ちの金を確かめた。150円、ペットボトルのジュースが買えるだけ。煙草まで、半分足りない。

仕方ないから、ホット缶のカフェオレをジュースを自販機で買う。夏なら、羽虫が蠢いていそうな明かりには何もいなかった。当たり前か、今は草花枯れる真冬なんだ。


弟が、死んだ。いや、殺された。

無免許の飲酒運転手に、俺よりたかだか1年早く生まれただけのクソ野郎にだ。

当事者は奇跡的に軽傷だけで済んだ。憧れの夢へ向かって頑張っていた弟は死んだ。

プロ野球選手になる。そんな事を恥ずかし気もなく語っていた弟は、レギュラーにもならない野球部を2年も続けた。3年になる直前の冬、やっとの事で掴みかけたレギュラーの座を前にして死んだ。


俺が代わりに死んでいれば。無駄だと知りつつも、考えずにはいられなかった。

真面目な弟とやりたい放題の兄。どちらが価値を持つか、高校に行けた事が奇跡な馬鹿にでも分かる。荒れた心は、綺麗事を正当化するのに充分だった。

すでに空になったスチール缶を少し明るくなった空間に投げ捨てた。


少しずつ辺りが黒から紫へと移り行く。もう、朝は遠くない。出来るなら、このまま朝がなくなればいい。

そんな事を考えても、当然のように朝は来る。至極当然のように、残酷に廻り続ける。


消えろ。いっその事、そのまま消えてなくなれ。


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