森の異変 その2
「それでセイン、どうするんだ?」
クレイが左頬をさすりながら聞いてきた
「そうだな、とりあえずモヤのかかってる方に向かって森の奥に行こうと思ってるんだけど、どう考えてもあれが原因だろうし」
「まぁ確かにな…お前しか見えないってのも俺からしたらちょっと不気味だけど…まぁ少し入っていけば動物の気配も出てくるかもしれないしな」
そう言ってクレイと共に森の奥、モヤのかかって見えるとこに向かって歩き始めた
森の奥に行くにつれて、何か嫌なものが体に纏わりついてくる感覚が出てきた
隣を歩くクレイを見ると、ここまで来たら流石に何かを感じ取ったのか、険しい顔をして歩いている
クレイは慎重になっているのかいつの間にか気配が薄くなり、歩行音も聞こえない。相当警戒しているようだ
普段の狩りの時に獲物が近くにいると察知したら自分の気配を完全に消滅させる技術を持っている。何度か教えてもらったのだが、俺はまだ完全に気配を断つことができない
「セイン、もう少し気配を消せ、見なくても緊張しているのがはっきりわかるぞ。この先はかなりやばい。複数の嗅いだことのない臭いに混じって血の匂いもする。恐らくこの匂いは…鹿とイノシシのものだ…とんでもない奴が居るのは間違いない。だから他の動物はこの一帯から逃げたんだ、一旦明かりも消すぞ」
クレイの額から汗がかなり流れている、クレイがこんなに警戒して怯えているのは初めて見た。
相当やばい奴がいるんだろう。
俺たちは手に持っていたランタンの火を消して気配を消して、森の奥にゆっくり進んでいく
「「なっ…!!!」」
二人同時に声を上げそうになった
鹿であろう物体が無造作に食い散らかされた跡が月明りで見えた
(なんだこれは、こんな事をする奴なんてこんな所にいるなんて見たことないし、聞いたこともない)
そう思いクレイの方を見たら同じ事を思っていたのか、クレイも見たことないというように首を横に振った。
「セイン、駄目だ、一旦戻って準備をして明日明るい内にもう一度調査をしよう。父さんやガイおじさんも呼んでみんなで調査をした方が良い。俺とお前だけでやるには荷が重すぎるし、知識が足りなすぎる」
小声でそう提案してきた。そうだろうな、確かにこんな事をするやつをそのまま二人で相手にできるとは思えない。クレイの父親も狩人としても優秀だし、村1番の狩人であるガイおじさんもいた方が安心できる
俺は頷いた。二人同時に警戒をしながらゆっくりその場を離れようとした時
森の更に奥にキィィィンと音と共にまばゆい光が空から飛んで降りてきた
「なんだあれは…クレイ、あれが何か見えたか…?」
「はっきりは見えなかったが何か人?のそうな奴が光に包まれて降りてきたように見えた」
そう俺もそういう風に見えた、俺とクレイは近くの木の陰に隠れ、光が落ちてきた所を凝視している
(なんだあれは、人…?いや、それにしては何か角みたいなシルエットも見える。それに光のおかげで見えたが、光の降りてきた近くに緑色の大きな化け物みたいなやつが何匹も見えた気がする)
「おい、セイン見えたか?化物が何匹も見えたような気がした。俺の気のせいか?」
「いや俺も見えた。なんだあれ、どう見ても俺らより二回りもでかい奴だったぞ。あんな生き物が居るなんて聞いたことが無い。恐らくさっきの鹿もあいつらがやったんだろう」
クレイも同じことを思ったのか俺の言葉に頷いて、気配を完全に消して光の中に居た人物から目を離さなかった
しかし俺はそれ以上に気になった事があった
いつの間にかモヤが見えなくなっていた、アレが来てからだ。
アレが来たからモヤが消えたのか?何か違う気がする何せモヤと共にあった嫌な感じが増していたからだ
そう思い、自分達が来た村の方に目を向けた
(あぁ、そういう事か…アレが来たから急激にモヤが広がって俺らは完全に包まれたのか)
目線の先にはある位置を境に見え方が変わっている。霧を外から見るのと、霧の中から霧の無いとこを見るような感覚だろう
そして俺の頭に急な警告音がならされたかのような感覚が起きた。すぐにその元となっている方に目を向けると光の中から出てきた人のような姿をした生物の紅い瞳がこちらを凝視していた
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