青い髪
アンナ・フレッド視点
部屋に戻り、窓から天を見上げ、あの子の父、そして私の亡き夫。ユリウス・フレッドに報告するように呟いた
「ねぇユリウス聞いて、あの子、セインがあの剣を持ってきたわ。あれは確かお義父さんが北の森の洞窟の祠に封印したはずなのにね。そしてそれをセインに渡した子。その子が封印を解いたのかしら。もしそうならその子は一体なんなのかしらね。いや、もうわかっているか…もう一本同じ剣を持っていたとも言ってたわ。そうなるとその子は選定者。そしてセインはそれに選ばれた運命の子ってことになるのかしら。お義父さんから聞いた御伽噺かと思ってたのにね。まさか私たちの子が選ばれるとは思っていなかったけど。しかも同じ青い髪の女の子だって。私も会ってみたかったわ。この世にあなたの家系にしかできない青い髪の子に、いや、それは駄目ね、会ってしまったらどんな顔をしていいかわからなくなってしまうもの」
その青い髪が何を意味しているのかアンナには理解できた
いや理解するしかなかったのだろう
それはユリウスと結婚をしたときにユリウスの父から話された御伽話、選定者とそれに選ばれる運命の子についての話。自分の子が結婚をする際に受け継いで行く話。まさか自分の子が選ばれるとは思っていなかった、過去にも数回起こったとされるお義父さんの身にも起こった壮絶な争いの話
アンナは天に向かい祈るように手を合わせ願うことにした
「あの子に訪れる災厄がどんなものかはわからないけど、あの子が後悔をしない道を選んで立ち向かえるように、あなたも見守っていてください。そして選定者の子にも幸のあらんことを…」
そしてアンナは机に向かい一つの手紙を書くことにした
窓を開け指先から小さな光を放ち、何かに向かって合図をするように腕を伸ばし空高く腕を回した
すると森の方から鷹が飛んできて窓の縁に止まりアンナの腕に擦りついた
「よしよし、よく来たわねシエル、久しぶりにお仕事を頼みたいの。聞いてくれるかしら?」
鷹のシエルはキュルキュルと喉を鳴らし、うなずく様に頭を下げた
「ありがとう、ならこれを隣町・シュエンスタークに居るソニアちゃんに持って行ってくれるかしら?」
そうしてシエルの足に手紙をくくりつけ餌をあげて、飛び立つのを送った
「さてこれでソニアちゃんにもお願いごとができたし、明日はセインに詳しく話さなくっちゃね。どこから話せばいいのかしら。ねぇユリウス、どうしたらいいかしら?」
そうしてまた返事が来ない疑問を天に向かって話掛ける
「本来あなたの役目なのよ?これはあなたの家系についてのことなんだから、私が話すのも何かおかしくないかしら?なんてね、こうなるかもしれないとお義父さんから聞いたんだから、あなたが話せないんだから仕方ないことなのよね」
そうして窓をしてアンナはベッドに横になり何から話せばいいか順序を決めて寝ることにした
しかしその話はアンナの口からセインに伝わることはなかった
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