未来を見る力
「えっと…イノシシ狩りはしたいんだけどさ、剣が折れたのを見てたらわかると思うんだが…折れると思ってなくて狩る為に必要な装備がナイフしかないんだが…」
俺はナイフをリグレットに見せて困った顔をした
するとわかってると言わんばかりの顔をしてリグレットは言った
「そうですね、見てましたから…ナイフだけでも狩りはできるとは思いますが、騎士を目指している貴方には剣が必要ですね。騎士を目指すなら予備の剣は持っておいた方が良いですよ?まぁ、どんな状態でも戦えるように鍛え戦術も覚えた方が良いでしょう。ですがそれはこれから覚えていけば大丈夫だと思います。今は剣だけに慣れましょう。なのでこの剣を使ってください」
そう言ってリグレットは自分の保有している3本の剣の内、真っ白い鞘の剣を渡してきた
「使ってくださいって…そんなに簡単に自分の剣を渡してもいいものなのか?貸してくれるのはありがたいが、それはかなり良い剣だろ?俺が扱えるようなものではないと思うんだけど」
「大丈夫です。この剣は予備のものですし、今の貴方でも扱える剣です遠慮しないでください」
なんだ?さっきから妙な言い方をするな…
そう言ってくれるのは助かるが裏があるようにしか感じないんだが…
受け取ろうか迷うとしていたが、リグレットは無理やり渡してきた
「良いから遠慮せずに!ほら!抜いて抜いて!」
剣をしぶしぶ受け取り鞘から剣を抜いた
「なんだこの透き通るような刀身は、なんていうか…綺麗だな」
しかもなぜだろう、昔から知っているような感覚がする
そして何故だか、身体の内から力が湧いてくるような感覚がする。なんだこれは
そう戸惑っていると隣から声が聞こえた
「どうですか?いい剣でしょう?私の持っている剣と同じ剣です。切れ味は先ほど見た通りです。これ以上の剣は早々見かけないでしょう」
「確かにイノシシの首を一振りで綺麗に両断できるほどの切れ味があるのはわかったが…あれは君の実力あってのものだろ?俺が扱える気がしないんだけど」
「いえ、今のままでもその剣を使えば簡単に牙ごと首を断ち切れるでしょう。それほどの実力はあります。それを生かせるための剣が無かっただけですよ。それに貴方なら、その剣の力を十分に発揮させる事が出来るでしょう」
予備と言っていたがやっぱりとんでもない物じゃないか
こんなに上等な剣を何故こうもあっさり俺に渡してくれるんだ?やっぱりわからない、初対面だぞ?そういうものなのか?村や隣の町しか知らない俺が田舎者すぎるのか?
そう悩んでいると察せられたのか声がかかる
「まぁ、お渡したのには他にも理由があるのですが…私はもう行かなければならないので、一つだけ伝えたいことがありますのでそれだけ」
そう言ってリグレットは神妙な顔をして少し悩むような素振りをし口を開いた
「貴方にはこれから…いえ貴方の周りと言ってもいいでしょう。災厄が起こります。その剣はそれに対処すべく為にお渡しします。その内容は教えられませんが、きっと役に立つでしょう」
「それは君の未来を見通す魔法で見たものか?だから内容は教えられないと?」
「えぇその通りです」
災厄?一体何が起こるんだ?彼女の話方には嘘を言ってるようには見えない
彼女の魔法…未来を見る力。しかしながら、なんか引っかかる。何か本当のように聞こえるが何かが違う気がする。だが、本当に災厄なんてものが起きるなら確かに備えは必要か
でもこれだけは聞かなきゃならない気がする
「なぁ、何故俺にそこまでの事をしてくれるんだ?今の未来の災厄についても教えてはいけない事なんじゃないか?代償として、また使えなく期間?ってのが伸びるんじゃないのか?そんな君にとってデメリットにしかならないのに初対面の俺にそこまでしてくれる理由を教えてほしい」
「確かに私の魔法はしばらく使えなくなるのでしょう。ですがいいのです、私の力はこれで使い果たしても。それ程これから起こる災厄は恐ろしいものなんです…貴方にはそれに対して必ず打ち勝って頂きたいのです…あぁ、もう時間がないんですねまだ話したい事はたくさんあったのに」
急な彼女を包み込むような光の柱が上がってきた
「なんだ!これは!一体なにが起こっているんだ!?」
「ごめんなさい、私はこれで失礼しますね、あぁその剣は貴方に差し上げます、もし返したいとなればまたいつか私に会えた時に返して頂いても結構ですよ?ではまたいつか貴方に会えることを信じています」
そして光が強くなり彼女の体が消えかかってきた。これも何かの魔法なのか?
「待て待て、まだ聞きたい事がたくさんあるんだ!勝手に消えないでくれ!」
だが、俺の言葉は空しくまだ更に光は強くなり、彼女の姿は段々薄くなっていく
「それではまた逢う日まで、それまでさよなら ーーーーー」
そう言葉を残して彼女は消えた。同時に光も消えてしまった
最後になんて言ったのか聞き取れなかった
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