リグレット・フルール
「さて、イノシシ狩りは良いのですか?再開しますか?」
ふいにそんなことを聞いてきた。いやそんな事できるわけが…
「いやいや、俺の剣が折れたの見てたんじゃ?流石に剣がなければこれ以上は…それ以外はこのナイフだけだし」
そういって俺はナイフを見せた
「えぇ、そうですね、見ていました!駄目ですよ!剣の点検を怠っては!まだ切れるからとずっと使っていたのでは?傷んでいる剣は手入れ、もしくは買い替えなければ!」
そう言って思い出したかのようにまくし立ててきた
そうだよな、普通の兎や鹿は狩れていたからまだ大丈夫と思って血を落とすだけで素人の手入れしかしてこなかった、鍛冶屋に持って行くにしても、村には無く鍛冶屋のある町に行こうとしたら馬車で2日かけるしかなくなる。また今度と思っていたらズルズルと引き延ばしてした
「全く騎士になろうとするんだったら装備をちゃんと確認するのも立派な務めです!ちゃんとやってくださいね!」
そう言って彼女は片手は腰に、そしてもう片方の手でビシっと指を指してきた
「す、すまん」
彼女の圧に負け頭をさげるしかなかった
くすくすと悪戯っ子っぽい顔で笑い始め
「いえいえ、ちょっとお姉さんぶりすぎましたね、年上に対してごめんなさい」
なるほど年上ぶりたかったと、もしかしたらこの子は一人っ子なのかもしれない
村の一つ年上の幼馴染のソニアも同じような事をしていた。彼女も弟か妹がほしかったと言って、俺やクレイを弟と見立てて同じように怒っていたな。母さんがお姉さんでありたいからそういう態度を取るんだって言ってたな
ん?あれ?
「なぁ、俺、あんたに歳教えたか?なんで俺が年上だってわかってたんだ?ましてや俺が騎士になりたがっていたなんて言ってなかったような気がしたんだが…」
彼女はしまったという顔をして口を隠すように手をあて驚いていた
「いえ…それは…その…なんとなくそんな気がして…」
怪しい、急に言葉切れが悪くなってきたし、オドオドし始めた
なんだ?何を隠している?そういえばイノシシと戦ってた時も彼女は何もしなくてもなんとかなったと言っていた。まるでそうなるのが最初から分かっていたような口ぶりをしていたような気もしていた
「あんた一体何者だ?」
だいぶ覚悟したような顔をしてゆっくり口が開かれた
「すいません。実は私の魔法の一つで…見た人の未来がちょこっと見えるんです…それで私と未来に話していた事が見えて…その時に話していた内容をつい言ってしまいました」
(そんな魔法もあるのか、なら何故最初からそう言わなかった?いや、そんな便利すぎる魔法があるのか?)
そんな事を悩んでいると彼女の口から
「実はその内容をそれを見た方に話してはいけないのです。言ってしまえば魔法の反動が術者に跳ね返ってこの魔法が使えなくなってしまうんです」
「なるほど、だから魔法のことを言えなかったのか、ならもう使えないのか?」
「いえ、この程度ならまだ反動も少ないみたいです、ただ次使うまでに時間がかかりそうです」
「そうか…」
正直疑問は残るが彼女によって助けられたのは間違いない事実。あんまり詰めても彼女に悪いか
「いやすまなかった。せっかく助けてくれた人に対しての物言いではなかったな…」
「いえいえ!私が変な事を言ってしまったのが悪いんです!」
そう言って彼女は頭を下げた
「そういえばまだ名乗ってなかったな。もしかしたら未来では名乗って分かっているかもしれないが、セイン・フレッドっていうんだ。この森の近くのリエット村に住んでいる」
そう言って彼女に握手を求める手をだした
「そう…ですね私の名前はリ…リグレット・フルールって言います。色々なとこを旅している旅人です!ここよりずっと東にあるフレイド聖王国出身です!」
フレイド聖王国
確か俺たちの居るリザレーヌ王国の隣国・バーミア帝国の更に東にある国だったか?
まぁここはリザレーヌ王国でも更に西にある辺境の領の中でもギリギリ国境にある村なんだけど
というか国境というなの大陸の果てだからこれより先はただの山があってその先は海が広がって未だに探索できていない未開の地がある…と言われている
言われているだけであるかどうかもわからない
(なるほど、確かにそんな所から長旅を出来ているならこの強さも納得だな。それに魔法。その中でも聖王国は魔法に長けていると聞いたことがある。俺ら王国では聞いたことがないような魔法があっても不思議ではないか)
リグレットは勢いよく俺の手を取り握手に応じてくれた
さて、話を戻しておこう。なんだっけ。イノシシ狩りをするかどうかだったかな?
情報が多すぎて処理できなくなってきた頭をフル回転してなんとか話を戻すことにした
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