Returner 絶望(やみ)の創世
「ここ……どこだ……?」
そして……僕と「エロゲ戦鬼」の作者は元の世界に戻って来た。
目の前に有るのは、かなり高い場所に有る小さな公園。
公園の端っこは崖みたいにになってるが、その前には金属製の柵が有る。
そして、その横には……今は閉っている……え……えっと、今時、こんな昔の茶店みたいな小さな飲食店が、まだ、有ったのか?
背後には鳥居と石段。
どうやら、山の中に有る神社らしい。
多分、この昔風の茶店も、営業してるのは正月の初詣シーズンだけなんだろう。
遠くに見えるのは……かなり大きな川。
工場やショッピングモール。高層マンションらしい建物。
どうやら……日本国内、それも地方の県庁所在地クラスの人口が有る都市の近くらしい。
「どうしろってんだ、こんな所? こっちは身重なんだぞ。どんだけの距離を歩けば下に着くんだ?」
そうボヤいたのは……僕達と一緒に、こっちの世界にやって来た雌豚。
ただし、その腹の中には「大地母神」とやらが居て、脳味噌も、その「大地母神」に乗っ取られてるようだ。
「ま……曇りみたいで助かったな。私とお前は太陽の光に弱い」
その時……子供の恐怖の声。
「まぁ、お前の……『バットマン』のジョーカーとトゥーフェイスを合わせたような顔を見れば……あれ?」
その時、僕と「エロゲ戦鬼」の作者は、ほぼ同時に違和感に気付いた。
どうやら日本国内らしいのに、子供の叫び声は明らかに日本語じゃない。
「ここ……観光地か?」
「あ……あの……」
その時、外人訛りの日本語。
どうやら、中国人観光客らしい一行。三〜四〇ぐらいの男と女と……その親世代ぐらいの年齢の爺ィと婆ァ。ついでに小学生ぐらいのオスガキとメスガキが一匹づつ。
どうやら、このガキどもが、さっきの悲鳴の発生源のようだ。
「何だ?」
雌豚が横柄に、そう訊いた。
「さっきまで、ここに居た女の人達の一団から、これを預かってるんですが……明らかに変な人達が現われたら渡してくれと言われて……」
そう言って差し出されたのは、ブ厚いA4ぐらいの大きさの封筒。
「なるほど……約束の品か……」
「何?」
「あいつらと世界そのものを交換する対価だ。魔法を使って女同士で子供を作る方法の詳細だ」
……。
…………。
……………………。
「えっ?」
「えっ?……どう云う事?」
僕と「エロゲ戦鬼」の作者は……同時に声をあげた。
「あいつらの種族の男は、お前ら狭い意味での『人間』が文明を築く前に絶滅して……それ以降、女同士で子供を作って増えてたらし……ん?」
雌豚は、よろよろと……閉店中の茶店の前まで歩いて、そこに有ったベンチに座る。
「何だ? 体の調子がおかしい」
「大丈夫?」
「妙だ……この体が『私』を妊娠してるせいじゃないらしい。『私』の体の方も……何か、調子が……」
「あ……あの……」
その時、中国人観光客らしい男が声をかける。
「何?」
「レンタカーでここまで来たので……何でしたら、病院まで送りましょうか?」
「あ……はい……えっと……お願いします。ところで、ここ、どこですか?」
まぁ、どう考えても向こうからすれば、間抜けにな質問を訊いて……中国人観光客はキョトンとなった。
「え……えっと……」
中国人観光客は小さな公園にあった案内板を指差し……。
「『高良山』? 何て読むんだ、この地名?」
「え……えっと、福岡県久留米市? ここって、福岡の……どの辺り?」
「んぎゃ〜?」
「ふぎゃ〜?」
「ふにゅ〜?」
「みぎゅ〜?」
「ひりゅ〜?」
「ほぎゃ〜?」
その時、中国人観光客一行が、突然、妙な悲鳴をあげて……地面に膝をついた。
「この世界……何かがおかしい。こいつらの脳味噌から情報を収集……ん?」
どうやら、説明台詞で言った通りの事をやってるらしい雌豚は、段々と……「おい、待て、何てことだ」的な表情に変っていき……。
「おい、説明しろ。地球温暖化とは何だ?」
「えっ?」
「しまった……転生者の脳味噌からしか情報を得てなかったせいで……情報が偏ってしまったのか? おい、石油って何だ? この世界の人間どもは『大地母神』の血をチュ〜チュ〜吸い上げて浪費するような糞っタレな真似をやってたのか?」
「あ……え……何、どう云う事?」
「信じらんねえ、あの野郎、『もう1人の自分』にこんな真似するかフツ〜? 死にかけてる世界を私に押し付けやがったのかッ⁉」
何が……起きてるのか……良く判んない。
けど、「エロゲ戦鬼」の作者が言った通り……「想定外の罠」が有ったようだ。
ただし、その罠にマンマとかかったのは……僕達じゃなくて……雌豚の腹ん中の子供に宿ってる「異世界の大地母神」。
「やられた……元の世界との通路は……完全に閉じてる。けど……いつか……必ず……報復をしてやる」
雌豚の言葉には……体が凍り付きそうな怨念と怒りが籠っていた。
「まずは……この世界を征服し……そして……あっちの世界に攻め込む為の軍団を組織するか……」
『現世篇⑴:家畜亜人Q−JAP』(仮題)に続く?




