(7)
「ねえ……都知事選、どうなったの?」
「落選した。現職が当選」
「ああ……残念だったね……」
僕と、前世で僕の憧れの人だった「エロゲ戦鬼」の作者は、地面に座り込んで話をしていた。
「まぁね……」
「で、どうして死んじゃったの?」
「あのさ……俺のフォロワーで諂曲ゴロツキってのが居ただろ?」
「ああ……あの『羅刹狩り』の『爆炎の修羅』こと諂曲焔鎚のコスプレしてた人」
「あいつのせいで、殺させた」
「な……何で……?」
「いや、それが判んないんだ……。俺が、新宿の例の公金チュ〜チュ〜団体を活動停止に追い込んだ後……何故か、新宿の半グレどもが縄張り争いを始めて……」
「何で?」
「いや、何でか、マジで判んないんだ。何か、半グレどもが新宿に居る家出メスガキどもを拉致して売春させようとしたみたいで……気付いた時には、諂曲ゴロツキが、その半グレ同士の抗争に巻き込まれて……俺にまで、とばっちりが……」
「わけがわからないよ」
「俺にも、冗談抜きで、訳が判んないんだよ……。で、気付いた時には、半グレどもに拉致されて、山ん中に連れて来られたんだ。諂曲の阿呆と一緒に」
「それで……?」
「穴掘らされた……深くてデカい穴」
「何の為に……?」
「自分を埋める穴を自分で掘らされたんだよ‼」
「はぁっ?」
「で、フン縛られて、自分で掘った穴にブチ込まれて、上から、さっき、自分で掘った土をかけられて……うわああああッ‼」
「どうしたの?」
「お前のせいで、思い出したくもねえ事を思い出しちまったじゃねえかッ‼」
「……あ……ごめん……」
しばらくの沈黙……。
「がっかりしたろ?」
「何が……」
「お前の憧れだった俺が……こんな、おじさんで……」
「そんな事無いよ」
「そうか……お世辞でもうれしいよ……」
「うん、おじさんって言うより、おっちゃん」
……。
…………。
……………………。
「誰が、おっちゃんじゃあ〜ッ‼」
突然、僕の憧れの人だった人がブチ切れ……腕が触手に変り、僕の首に巻き付き……。
こ……殺される……。
僕は左腕を触手に変え……奴の首に巻き付け……そして……右腕の質量の大半を拳に集め……。
「ご……ごえ……な……なに……うぉ……しゅ……りゅ……き……」
こうする気だぁッ‼
ブン撲った。
ブン撲った。
ブン撲った。
更にブン撲った。
もっとブン撲った。
更にもっとブン撲っ……嘘です。
「う……うぎゃああああッ‼」
「ぎゃああああッ‼」
突然、僕と相手が叫び出す。
無茶苦茶な苦痛。
頭が七つに割れるような……痛み。
そのせいで……本当は2発半ぐらいしかブン殴れてない……。
「おい、こっちは真面目な大人の話をしてんだ。糞ガキどもが、これ以上、ウキャウキャとオ○ニーを覚えた猿みたいに騒いだら……ただじゃ済まんぞ。これより酷い苦痛を与えながら……生かし続けてやるから、そう思え」
転移者の片方(サイコ野郎の方)が、そう叫んだ。
「は……はい……」
「わ……わかり……ました……」