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「な……な……な……何を言ってる? 俺が禿だなどと言うのは、俺に悪意を持ってる陰謀団が広めたデマだッ‼⁉ お前、そんな事を信じるのかッ⁉」
有色人種に化けて逃亡しようとしているようにしか見えない禿は、そう喚き散らした。
「い……いや……どう見ても……あんた、今、髪が無いだろ……」
「うるさい、これだから、有色人種は非論理的なんだッ‼ おい、オマエ、どうせ阿呆な陰謀論を信じてる阿呆だろッ⁉」
い……いや……言ってる意味が判らん。
数秒前に言ってた事と正反対の事を平気で口走ってるのに、他人を非論理的だとか罵倒してやがる。
いくら、白んぼ共が阿呆ばかりだとしても、何で、白んぼ共の中で更に阿呆にしか思えねえ奴が、白んぼ共のリーダーになれたんだ?
ひょっとして白んぼ共は「頭が良いって言うのは、ど〜ゆ〜事なのか?」の価値観からして、俺達、優秀なる有色人種様達と逆転してるのか?
「ともかく、俺を助けろ。そうすれば、名誉白人どころか、本物の『白神』にしてやる」
「いや、どう見ても、お前ら白んぼの方が負けてるだろ」
「何でだッ⁉ 根拠を言えッ‼」
「白んぼのリーダーのあんたが、有色人種に化けて逃亡しようとしてるようにしか見えない」
「だから、お前ら、有色人種は阿呆なのだ。何で、そんなデマを信じる?」
「いや、見たまんまの事から判断しただけだ。あんた、白んぼ共のリーダーの『スプリーム・ダーナル』だろ。白んぼの指導者が有色人種に化けて逃亡中って、どう考えても、白んぼの方が負けてる最中だろうがッ‼」
「違う」
「じゃあ、『名誉白人にしてやる』とか言ってるのは嘘なのか?」
「嘘じゃない」
「嘘じゃない根拠は?」
「俺こそ『白神』の指導者、『白神』の勝利の切り札たるスプリーム・ダーナルだからだ」
「ああ、やっぱり、そうか。じゃあ、お前を捕まえれば……報奨金ぐらい……」
「わははは……これだから、有色人種どもは非論理的で陰謀論を軽々しく信じる我等『白神』様が指導してやらねば何も出来ない劣等人種なのだッ‼」
「はあ? さっき『俺はスプリーム・ダーナルだ』とか言ったばっかなのに、また、秒で『俺はスプリーム・ダーナルじゃない』とか言い出すのかよ?」
ドゴオッ‼
俺が、この馬鹿を論破した途端、俺の体に強烈な衝撃。
そんなの有りかッ‼
論破より物理が強いなんて事になったら……SNSが崩壊するぞッ‼
って、この世界にSNSが有るのか?
ちくしょう……片腕を失なったばかりなんで……まだ、体のバランスがうまく取れない……。
あっさり、馬鹿で非論理的な阿呆白んぼのタックルを食って……押し倒さ……。
じょぼじょぼじょぼ〜ッ……。
この世界に異世界転生して以降の忌しい記憶の数々が脳裏に浮び……失禁。
「ひいいいいいいいッ」
心臓はバクバク……どう考えても過呼吸状態……。
「ん? どうしたのだ? もう終りか?」
「や……や……やめて……犯さないで〜ッ‼」
スプリーム・ダーナルは……一瞬、唖然としたが……。
ドゴオっ‼
倒れた俺に馬乗りになったスプリーム・ダーナルは、俺を殴る。
殴る。
殴る。
殴る。
もっと殴る。
更に殴る。
更に更に更に殴る。
もっともっともっと殴る。
「おい、お前、ホモかッ⁉」
ち……ちがうんですぅ〜。
ただ、@#$されたら感じてしまうようになっただけなんですぅ〜。
「忌しいホモは殺すしか無いな。死ね。死ね。死ね。死ね〜ッ‼」
たすけて、たすけて、たすけて。
殴られ……殴られ……殴ら……。
「ぐええええッ‼」
だが……突如響いた、その悲鳴は……俺のモノでは無かった。




