(17)
下水道の天井から何かが落ちてくる。
ゴミ……水滴……石かレンガの欠片や土塊。
微かに爆音みて〜なモノも聞こえる。
上の方で戦いが始まったらしい。
でも、俺は……。
迷った。
道に迷った。
この下水道が道と呼べるかは別にして、ともかく迷った。どこから、どう出ればいいか判らない。
ああ……ここで……俺の人生終るのか……?
いや、人生終ったのは2度目だけど……ああ、前回ほど苦しまずに死ねそう……ん?
真っ暗な筈の地下下水道に、光が……それも、上の方から差してるような……?
俺は、その光の方に向かう。
どっちみち、変な性病をもらってるんで、今度の人生も長くないだろう。
この異世界で、生きてても、いい事なんて無いだろう。
でも……。
それなのに……。
心は嫌がってるのに、体は欲望に抗えない。
生きたいって欲望に……。
生きてても、何1つ良い事なんて無さそうな2度目の人生なのに……。
1度目の人生は……生き地獄を味わい続けた挙句の死亡。2度目の人生は異世界で、生き地獄。
俺、何か、悪い事やったのか?
公金チュ〜チュ〜団体の正義の暴走を止めようとしただけなのに……。
あの野郎が悪いんだ。
まさか、あの野郎が、ホントにヤクザか半グレだったなんて……。
「な……何だ、これ……?」
そこは……ゴミで出来た下水道の中の島。
その島にはエクスカリバーみたいに大剣が刺さってる。
ただし、剣は……地面……と呼んでいいか判んないけど地面(便宜上)に倒れてる腐乱死体を貫いている。
剣が貫いてる死体は……大きさからして、女か子供。
顔は無茶苦茶。
ネズミか何かに肉を齧られてるらしく、骨が露出してるが……頭蓋骨は原型を止めてない……。
「うわあああッ⁉」
そのグチャグチャになった頭蓋骨の中からネズミが出て来た。
体の表面は蛆虫と粘液に塗れたネズミ。
どうやら、死体の脳味噌を美味しくいただいてたらしい。
何だ、この嫌過ぎにも程が有るエクスカリバーはッ?
「お……おい……お前。俺を助けたら……名誉白人にしてやるぞッ‼」
突然、年寄っぽい感じの男の声。
「な……なんじゃ、こりゃあッ?」
俺は……思わず、そう叫んでしまった。
そこに居たのは……肌は白黒まだら……ただ、顔立ちは明らかな白んぼだった。
いや……どこかで、見た事が……。
でも……。
段々、思い出す。
まさか……。
この禿頭に……何とも言えない変な髪型の金髪を合成すると……えっと……。
「あんたの髪、鬘だったのかよッ?」
俺は、何故か、有色人種に化けてこんな場所に居る白んぼどもの大将……スプリーム・ダーナルに向って、余りにマヌケな事を叫んでしまった。




