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「ゆ……勇者様はオラの命の恩人だ……。一生、勇者様に忠誠を誓いますだ。何でも言い付けて下せ〜ませ〜♥」

 やめてくれ……。

 何だ、これ?

 ナーロッパ系異世界転生モノだったら、女の子にこう言われるのが定番だろ?

 けど……。

 僕の前に跪いて……しかも、僕の靴をペロペロ舐めてるのは……男。

 ただの男じゃない。

 金髪碧眼の白人だって以外は、()()の僕の自分でも嫌だった部分を煮詰めたよ〜な……僕の劣化コピー。

「と……とりあえず……君達は、何で、この一行を襲ったの?」

「ああ……オラは嫌だったんですが……ウェ〜イどもの命令で……」

「ウェ〜イ?」

「ああ……すんませんだ。()()は……オラ(だち)オダグ族と、あいつらウェ〜イ族の区別が付かん事を忘れとりましただ」

「人間? 君達は……人間じゃないの?」

 僕の劣化コピーみたいな白人は……一瞬、ポカ〜ン……。

 そして……。

「ま……まさか(まざが)、勇者様は転生者様なんでしょか?」

「え……えっと……多分……」

「あの……別の世界には……()()()()()()が居るちゅ〜のは本当なんでしょか?」

「ああ、そうだよ」

「その……別の世界の白い肌の人間は……()()()()()と同じよ〜な暮しをしとるんでしょか?」

「う……うん……大体同じかな?」

「普通の人間から……例えば、酷い目に合わされたりは……」

「無いよ」

「町中に住んどる白い肌の人間が……地震とかが起きる(たんび)に『井戸に毒入れとっただ』とか言われて、普通の人間に火炙りにされたりとかも、無かとでしょか?」

「無い、無い、無い、無い」

「はぁ……オラ(だぢ)『ウルク』にしてみりゃ、天国みて〜な世界じゃ……。転生者様、オラも、その天国に連れてってくだせ〜」

「でも、帰る方法が……。あと、さっき、自分の事をオダグ族とか言ってたけど、えっと、オダグ族とウルクってのは同じモノなの?」

「人間に似とるけど、肌が白くて、髪や目も明るか色の(もん)は……この世界では『ウルク』って呼ばれとりますだ。で、戦士の部族が『ウェ〜イ』、オラ(だぢ)、魔法使いや神官の部族が『オダグ』……そして……あの御方(だぢ)の部族が……」

 そう言って、自称「オダグ族」は……黒いブルカみたいなモノを被った小柄な奴を指差した。

「巫女の部族ですだ」

「巫女?」

「人間の言葉に翻訳(なお)すと『巫女』と『聖女』の両方の意味が有りますだ。偉大なる大地母神様に選ばれた聖女様と、その聖女様にお仕えしたり、新しい聖女様をお育てする役目の女達の部族ですだ。そして、その方は、今の時代()の聖女様ですだ」

「あ……ああ、なるほどね」

 そう言って、僕は……そのブルカを着た奴に近付き……。

「あああ……勇者様、いけませんだ」

「えっ?」

「申し訳ありません。私達『巫女の部族』の者は……他のウルク族に比べても肌や目の色が薄く……日の光に弱いのです。日が暮れるまで、この被り物を取るのは御容赦下さい」

「あ……ああ、そう……」

 突然、ブルカの中から声がした……。

 端的に言えば、アニメ声の幼女声だ。

「でへへ……夜になってからのお楽しみですだ」

 おい、この下衆野郎、マジで僕の暗黒面の化身か何かか?

「転生者様……貴方様が、ここに来たのは偉大なる大地母神様のお導きに違いありません」

「えっ?」

「どうか……我々、白き肌の民をお救い下さい」

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