(1)
「じゃ、まずは1人目は、こいつだ」
サイコ女が、そう言うと前に出て来たのは……。
額の真ん中に鉄杭みたいなのが打ち込まれてる目が虚ろな男。
僕は、倉庫の中に有った剣を手に……。
「うりゃあッ‼」
ガキン……。
相手はボ〜ッっと、つっ立ってるだけ。
防御力が、そんなに高そうな服でも無いのに……いや、服は斬り裂けてるのに……手応えが……。
「この野郎ッ‼」
今度は首だ。
ガキン……。
「うわっ?」
明らかに、何か無茶苦茶固いモノを斬った……と言うか斬れなかったような手応え……。
そして、剣が敵に命中した時の手応え……と言うよりも衝撃で、手が痺れて……剣を落し……。
「え……っ?」
剣は曲り……そして刃毀れしている。
相手は、ぼ〜っとしたまま。
首筋と肩口から……血が出てるのに……切り傷っぽいモノは見当らない。
そして……敵は左手の掌を僕に向けて……。
「伏せろッ‼」
「えっ?」
謎の女(その2)の絶叫。
思わず、その通りにすると……。
血が飛び散る。
その血の中から……鉄杭。
表面には梵字のような模様が彫られ……先端が尖っている。
それが、さっきまで、僕の喉元が有った辺りを通り過ぎ……。
「うわっ‼」
今度は、左足の裏が、僕の方を向き、やっぱり、鉄杭が飛び出す。
「うわっ‼ うわっ‼ うわっ‼ うわっ‼」
僕は転がる。
相手は踏み付ける。
僕は転がって避ける。
相手は踏み付ける。
それが繰り返される度に……地面に穴が空く。
たまたま有った石ころを掴んで投げる。
顔面に当たったのに、平然としてる。
外から見ると、額にだけ鉄杭が埋め込まれてるように見えるけど……本当は体中到る場所に、あの鉄杭が……。
そうか……剣が効かなかったのも、たまたま、あの鉄杭に当たったせいか……。
マズい……どうすりゃいいんだよ、こんなの……。
「おい、気を付けろ。その鉄杭を打ち込まれたら……お前も奴の操り人形になるぞ」
えっ?
「で……ですが、転生者には、ある程度の魔法抵抗力が……」
「悪いお報せだ。鉄杭を打ち込まれたら……下手に魔法抵抗力があるせいで、奴の操り人形になるまで、ある程度は時間がかかる。その間、お前は苦しみ続ける」
やめろ。
聖女様が言ってる事を……そんな風に要約するなッ‼
「どうすれば、倒せるのッ?」
「奴の骨と肉を完全にボロボロにするか……奴の体から鉄杭を全部抜くか……鉄杭にかかってる魔法を解呪するか」
「や……やってみます」
とりあえず……
相手は踏み付ける。
僕は転がって避ける。
相手は踏み付ける。
僕は転がって避ける。
それが延々と繰り返され……。
「うごっ?」
相手の右足の肉が弾け飛び……。
ボトボトと骨と……何本もの大小さまざまな鉄杭が地面に落ちる。
その隙に僕は立ち上がり……。
だが、相手も逆立ちになる。
「うわあああッ‼」
僕は、落した剣を拾って、相手の股間に斬り付け……おいっ‼
何で、そこから鉄杭が飛び出すッ?
僕の剣は、股間から伸びた鉄杭で弾き飛ばされ……なかった。
さっきの一撃で、刀身が歪んでたせいで……鉄杭の側面を刃が滑り……けど、これまた刀身が歪んでたせいで威力は小さくなってしまったようだ。
「うわっ?」
今度は、相手の額の鉄杭が……よりにもよって、僕の股間を狙って飛び出す。
思わず、距離を取り……。
「ぐひゃっ?」
敵の両腕が弾け飛ぶ。
さっきの片足と違って……腕全体じゃなくて、肩と肘の関節あたりだけ。
ゴキャッ‼ ゴキャッ‼ ゴキャッ‼
それでも、敵は……立っていた。
いや……立ってると言うのか、あれ?
体の中から出て来た何本もの鉄杭が地面に突き刺さり、鉄杭男を無理矢理立たせている。
「避けろッ‼ 横だッ‼」
その絶叫が響いた瞬間……僕は……。
そして……。
男の体の中から、何本もの大小様々な鉄杭が飛び出し……そして……、つい一瞬前まで、僕が居た辺りを通過していった。
パン……パン……パン……パン……パン。
馬鹿にしたような拍手が響いた。
「ウォームアップは終ったようだな。じゃあ、次からが本番だ。おっと、平然としてるように見せ掛けて、実は頭に血が上ってるように見える演技でもした方がウケたかな?」
サイコ女が……余裕の笑みを受かべながら、そう言った。
「それとも、休憩時間が要るか?」




