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 首都と人災系ヒロイン

一応設定だとダンジョン系VRなのに一体いつになったらダンジョン描写が出てくるのかわかりやしない

多分次の次に出して、その時に改めてダンジョンタグ付けます。

 あの衝撃的な日から一日がたった。

 今日も俺は資金集めに奔走し、その足でカジノに向かう。

 そこでダレンさんと落ち合ってギャンブルに興じるのはいつもの事だが、それとは別で今日は彼に色々聞いてみたいことがあった。


「ダレンさん、昨日の事で聞きたいことが…」


「やっぱ聞いてくるよな…なんだ?」


 こっちの言葉を待っているダレンさんの顔はいつになく真面目だ。


「ダレンさんって…ギャンブルのお金どうしてるんだ?」


「あ、そこ?」


「そりゃ気になるだろ、Zランクのメンバーがこんな辺境の町で堕落しまくって!いや、Zランクは1位を目指してそれだけに注力してると思ってたからさ」


「そうか。まぁ、俺の財布はリーダーにきっちり管理されてるから、必要な育成分とかはきっちり引かれて俺の手元には余った小遣いだけが…お前やめろその顔」


 「嘘だろ、ゲームですら財布管理されてるのかこいつ」と思っていたのが顔に出ていたようで、ダレンさんは顔をしかめてきた。


「あ、そうだもう一つ…お願いがあるんだけど、俺を首都に連れてってくれないか?」


「嫌だ」


 予想以上にバッサリとお願いを斬り捨てられて、俺は焦る。

 首都に行ったことなない俺は、道中を安全に行けるかもわからないし、無事についたとしても、そこでの勝手がわからない。

 だから、ダレンさんが首都に住んでいるとわかった今はチャンスなのだが…


「えっ、どうして!?もしかして普段の態度がダメだった?」


「いや…ただ俺が首都に行きたくない。あそこにいるのは濃い連中ばかりで、関わるのがめんどくさい」


 …よかったワガママなだけだ。

 それを聞いた俺は、ここで最善の案を思いつく。

 俺はバッグを開き、お金を取りだした。


「…なんだその金は」


「1000万。お願いのお礼として用意したんだけど…」


 目の前の金の束と俺のこの宣言にダレンさんはそのまま固まった。

 必殺技『賄賂』。資産がバカみたいにある俺ならではの特権だ。


「よし行こう」


「変わり身はやすぎだろ」


 何はともあれ、これで解決だ。




 翌日、俺たちは首都を目指して町を発った。

 俺は首都に行ったことがないのでワープが解放されておらず、行きは徒歩で進んでいく必要がある。


「ダレンさん…何その姿」


「変装だよ馬鹿。プライベートで関わるとロクじゃないやつばっかだからな」


 そう言うダレンさんは、いつもと違って商人のような恰好に、帽子と眼鏡をつけて顔を隠していた。

 あの彼がそこまで言うとは、いったい首都はどうなっているのだろうか。


 首都に無事にたどり着いた俺は、その光景に圧倒された。


「すげぇぇ!ここが首都か!たくさんの人にたくさんの店!遊園地みたいだ」


「首都『ブレーメン』。ここには全プレイヤーの30%が集まっているからな。」


 人が多いのはそうだが、店も魅力的なものばかりだ。壁に貼られた看板には見たこともない商品がでかでかと載っていた。


「なんだあれ、『バブルアイスクリーム』?見たことない食べ物だな、ちょっと行ってくる!……あでっ」


 ワクワクを抑えきれずに、走り出した俺はすぐに誰かとぶつかってしまった。


「ああ、すみません、前を見てなくて…」


「こちらこそ、ごめんなさい…あれ」


「あ」


 顔を見上げると、なんと目の前にいたのはシュシュさんだった。


「あなたはあの時の、ダレンさんと一緒にいた…」


 そこにダレンさんが呆れながら近づいてきた。


「おーい、はしゃぐなって。ああ、お嬢さんすみませんねうちのツレが…」


「え、ダレンさんですか!?珍しいですね、この時間に首都にいるなんて」


「シュシュちゃん!?」


 少女の正体を知ったダレンさんは素早い動きで、彼女の元に顔を近づけた。


「いいか、俺がここにいることはあいつらには言うなよ?特にレメロは絶対ダメだ!」


「いいですよ、でもその代わりに私も一緒にいいですか?」


 シュシュさんが俺たちと一緒に?

 ダレンさん、意外と気に入られてるんだな。


「はいはいわかったよ」


 ダレンさんもめんどくさそうな顔をしつつ、手を振って了承した。




「あ、えーと…レイルさん。首都に来たのは初めてですか?」


「?ああ、そうだけど」


「じゃあ連れていきたい場所があるんですけど…いいですか?」



 シュシュさんに連れられて来たのは、真っ白な施設だった。

 中に入ると、現実で見たことのあるようなレーンがいくつも並べられていた。


「…あのー、シュシュさん。これってボウリング、だよね」


「なにいってるんですか。ボウリングなんて、このゲームには世界観的にありませんよ。ここは今流行りの投球技場です」


「いやそれボウリング」


「投球技場です」


「はい」


 完全に押し切られたが、やっぱりどう見てもボウリング場だ。

 なんでこのVRファンタジーにボウリング場があるかって?

 知るか、俺が聞きたい。


「あ、悪い。俺ちょっと電話しないと」


 ダレンさんはそう言って、施設の外へ出ていった。


「はーい…ところでレイルさんの役職は何ですか?」


「俺は魔法使いだよ」


「じゃあ私と同じレーンですね」


 そう言って、シュシュさんから渡されたのは青いボール。


「これは、魔力を込めるほど強く、繊細なコントロールが可能になるボールです。こっちについてきてください」


 そう言って、シュシュさんは奥の部屋の扉を指さした。


 ところで"強く"って言ってたよな?一体どういうことだ。

 なんて思っていた俺はアホみたいに長いレーンによってわからせられることになった。

 レーンには目測20m感覚で10本の瓶が置かれており、それがはるか遠くまで続いている。


「え、ええ?俺の知ってるボウリングは?」


「これはハイパー投球技場っていうモードで、役職に合わせて作られたレーン上にある千本のピンを倒すゲームです。」


 ほう、千…1000!?

 どうやらこの施設を考案した誰かはなかなかネジの外れたセンスがあるらしい。

 あと、そのネーミングセンス何とかならなかったのか?


「まずは私がやりますね」


 レーンの前に立ったシュシュさんはボールを両手で持ち、力をこめ始めた。

 赤い髪とマントが逆立ち、なぜか空中に浮き始めてる。全身から青いオーラが出てきて、なんかすごいことになっている。え、サイ〇人ですかあなた??


 彼女はそのままボールを叩きつけるように両手でスローイングした。

 ボールは隕石のようにレーンを浮いて直進する。

 ピンは当然片っ端から吹き飛ばされている。原形を保っているだけ褒めるべきか。

 やがてボールはレーンから逸れて、奥の壁に巨大な穴を創った。


「あら、惜しい…ピン700本です」


 そう悔しそうに言って、ボウリングを楽しむ少女。

 何も知らなければ可愛らしい花の光景だが、こっちからすれば恐怖映像だ。

 もう魔王名乗れよあんた。


 まあ、せっかくボウリングができるので俺も適当にやっていこうか。

 俺はレーンの前に立って、同様にボールを両手に掴んで踏ん張った。

 どうせすぐにエネルギーが尽きるだろうという俺の予想に反して、青いボールにはどんどんとエネルギーが込められていく。

 俺は最高潮になるまで待ち、その瞬間にボールを投げた。


 ボールはリモコン操作でもされているのかと疑うような歪な挙動で的確にピンを撃破していく。


「こ、こんなボール初めてみました…!」


 シュシュさんも手で口を抑えて震えている。


 こんなの絶対「獲得」の煩悩様の仕業だろ。


 最終的にはボールの魔力切れで700本で止まった。

 だがこの結果はトップ10に入るとのことで、ダークホースの登場に店内も大騒ぎになっていた。

 

「すごいです、こんな球始めてみました!Sランク…いやZランクにだって入れる実力ありますよ」


 いやごめんなさい実際はそんな実力はないんです、だからそんなキラキラした目で俺を見ないで!


 その後、何故かげっそりした顔で現れたダレンさんのおかげで、うまく話を逸らすことができた。

 ナイスだダレンさん、後で300万ほど上乗せしよう。


「そういえばダレンさんはなんでそんなに顔色悪いんだ?」


「…青いつなぎのお兄さんに掘られかけた」


「なんかごめん」

☆—―――――――――――――――――――――☆

ここまで読んでくれて本当にありがとうございました。

誤字脱字や辛口評価等も大歓迎です。

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