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★7話 私の親友は可愛すぎる

私石田美琴はいま親友の白坂雪と学校帰りに喫茶店へと来ている。


「ねえ…聞いてもいい?二人が仲良かったのも知ってるし、最近ようやく仲直りできたってのも聞いたよ…。でもさ!あれはなんか違くない!?」


私も冷静に話そうと思ったが思わず声を張り上げてしまう。


「しー!あんまり大きな声で言わないでよ…!ここ学校からもそんなに遠くないし、バレたくないんだから…!」


「それはごめん。でもあんなもの見せられたらテンションが上がるのは仕方ないじゃん。ていうか今日は症状大丈夫なの?珍しく外で遊ぼうなんて…私は嬉しかったけど。」


私は彼女が珍しい病気であることも知っているし、発症してからは遊ぶ時は基本的に彼女に家だった。そのため今日は珍しく外で会おうと言われ驚いたものだ。


「あー…それも言おうと思ってたんだけどね。葵と仲直りしたきっかけもそれっていうか…」


彼女はそう言うとごにょごにょと経緯なんかを説明し始めた。


「そんな嘘みたいな話あるの…?イケメン幼馴染のハグで症状が和らいでって…。でもよくハグで止まってるね、絶対他の女ならキスしてそのまま…って流れじゃない?そこまではいかなくてもキスくらいはありそうだけど…。」


あまりに衝撃のニュース。私も口を慎むような真似はしないし、できない。

流石に本人もそれくらいのことは分かっているのか顔を真っ赤にしている。


「いや…!だってさ…別に付き合ってるわけじゃないし…。それにそんなことしたら嫌われるし!せっかく仲直りできたんだもん…慎重になるっていうか…。」


アイスコーヒーをかき混ぜながらぶつぶつと呟くように反論している。


私も昨日までなら完全に同意だ。しかし今は違う。


「でもあれ絶対雪のこと好きだよね?少なくともただの幼馴染くらいではない気がするんだけど…。」


葵くんは教室で突然話しかけてきたわけだが、あれは行かないでって言ってるのと同じだ。それにめちゃくちゃ照れてたし…!なんかあの後佐倉さんも察したのか大人しく引いて帰ったし。


「やっぱり…?私もちょっと期待しちゃったんだけど…勘違いじゃないよね?」


流石の雪も嬉しそうな笑顔。とはいえあれが演技なら大したものだ。私は男性不信になるよ。


「だってあからさまにほっとしてたし、最後顔真っ赤にして帰って行ったもんね。私あんな顔してる葵くん初めて見たよ。」


彼はうちの高校でも間違いなく一番人気だけど、あそこまで整っていると逆に簡単に声はかけられない。男の子同士でいる時はよく笑っているけど、ああいう…色気のある?顔はそうそう見れるわけもなく…だから今日は正直私までやられそうだった。


「でも私また迷惑かけるのは嫌なんだよね…まぁ今でも病気のこととかいろいろ迷惑かけてるけどさ…。」


「私は中学の時からしか二人のこと知らないけど…今回は違う答えを出せるといいね。」


圧倒的にモテていた葵くんと仲が良かった雪はいろいろと面倒な立場だった。そのため今回は自分も好きだったくせに勝手に離れた中学の頃とは違った選択を選んでくれることを私は願っている。


「それにしても葵くんってほんと人気だよねー。後輩ちゃんも先輩もみんな連絡先聞きたがってるよ。」


「うう…クラスでもさあ…キラキラした人たちが葵に話しかけてるじゃない?私あの人たちに勝てる気がしない…!」


外見は全然負けてないと思うけどなあ。性格こそ大人しいけど、雪は地味に顔もスタイルもかなりいい。現に今日のように男の子から誘われることもあるし。まぁ大人しそうな外見がチャラチャラした男の子たちに狙われやすいのではという気もするけど…。


「アドバンテージは圧倒的にあると思うけど…。あの人たち誘ったりしてるけど葵くんってそういうの行かないイメージだし。それにうちの男子は結構大人しいタイプが多いからさ。だって、あんたたちこの前デートしてきたんでしょ?」


「デ、デートってわけじゃ…!ただ買い物に行ったってだけで…。ああでも…いやあれはしょうがないし…不可抗力というか…」


どんどん自分の世界に入っていってしまう。何やらぶつぶつ言いながら顔を赤くしたりを繰り返している。かわいいしこのまま見守っててもいいんだけど、そろそろ意識を取り戻して欲しいかな。


「雪、それを世間ではデートって言うらしいよ。写真とかは撮ってないの?ただ服を買ってはい終わりじゃないでしょ?」


雪はスマホのフォルダを開いて見せてくれる。そこには謎に葵くんのファッションショーのような写真が大量に入っている。


「え、これ一日でこんなに撮ったの…?いやでもまぁ確かにこれは撮りたくもなるか…。」


様々なパターンの服を着ているがそのどれも様になっているからすごい。そして見ているとわかるのが雪の服装の好みだ。ここまで分かりやすいのにびっくりするくらいシンプル系が多い。


「だ、だってシンプルなのが結局一番かっこいいんだもん!それに今の長めの髪って正直すっごい好みなんだよね…!一枚でも多く残しておきたくて…!」


「まぁそりゃかっこいいけど私は中学の頃みたいな短めが好きだけどなあ。爽やかで少年みたいな感じの。」


雪は分かってないなあ…みたいな顔をして私の方を見ている。こんなにうざい感じなのも久々で珍しくて和む。病気になってからいつも発作に怯えているようで、こんなに楽しそうに過ごしているのを見れて嬉しくなる。


「私の中でランキングをつけるならね、一位は確かに短髪なの。だけど長い時っていうのはレアなの…!そして私は小さい頃に結んでたのが可愛くて好きなんだよね。だからこのまま伸ばしてくれないかなあ…。」


そんな風に話す雪は置いておいて私は少し前から気になっていたことを思い出す。


「ねえ…これ見て欲しいんだけどさ…これって葵くんじゃないよね…?」


私はSNSでの告知を見せる。この会社はそこまで大きな会社ではなかったのだが、なかなか良いモデルがいると一部では話題だった。しかしトップ人気な子たちが移籍したというニュースがあり、フォロワーもどんどん減っていたのだが…突然告知が出たのだ。


「あーこれ葵だと思うよ。へーやっぱりほんとなんだー!絶対買お。」


平然とアイスコーヒを飲みながら私の親友が言う。

いやなんでそんなに余裕なの…?大ニュースじゃないの!?


「えっと…もっと驚いたりしないの…?私今結構衝撃なんだけど…!」


「んーだって私葵の妹の柚ちゃんから聞いてるからなー。うっすらだけどお母さんの仕事関係でモデル?やるかもみたいな。」


私はなんでこの子がこんなに余裕そうなのか分からない…。


「葵くんが今よりもっと人気になったら…とかって思わないの?男性モデルとかって別にいないわけじゃないけど…葵くんって結構、いやかなりその中でも上位な気がするんだけど…。ライバル増えてどうしようー、みたいなことはないの…?」


私がそう言って初めて気づいたのか突然あわあわし出した。うーんまぁ言ってもどうしようもないことだから言わなきゃよかったかなあ…。


まぁでも雪はもっと自分に自信を持ってもいいと思うけどなあ…。少なくとも私はクラスじゃ一番かわいいと思ってるのに。

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