酒ははたちになってからっていってるでしょうがぁー!
アルコールがはいってないと幻覚や幻聴がする。
手が震えて救急車をよべない。
俺しぬのかな。
スピリタスという高いアルコール度数の酒をいっきのみした。
いやなことがあったんだ。
自分のことが心底嫌いになってどうしようもなくなって酒に逃げる。いつものことだった。だけど、今回はのみすぎた。
意識が遠退く感覚。世界がどろどろにまじわって視界というなべにアルコールをぶちこんで、光と天井をまぜたようだ。
あっしんだかな。そうおもった。
だってめのまえに天子さまがいるんだもの。
『汝くるしみにたえぬき、よくぞここにたどりついた』
『なんですかぁー、いっぱつやらせてくださぃ!』
『汝、やっぱりどうしようもないですね』
『そんなこといわずにぃーねぇーおねがいしますよぉー!』
『汝、うざからみする同僚みたいですね、お似合いの世界に転移させてあげます』
『しんだんじゃないんれすかぁー?』
『汝、いきてますよ。ちょうどあなたのような人物をほっしてる人々がいますので紹介してあげます』
なんだやっとしねたとおもったのに、あれでもしなないのか、俺の肝臓ばけものだな。
意識が飛んでいく。
目が覚めた。なんだここ、さけくせぇーとおもったらゲロがふくについてるって、ちがうちがう、酒がまわりにくさるほどある。
天国かぁーここわぁ!
『うぃー!めがさめたぞっ!小僧!酒ののみすぎでたおれとったんか!?さけくさいぞぉー』
おまえもな。なんだこのみるからにドワーフってかんじのおっさんは。酔っぱらって外国にでも来ちまったか。
『おじさん日本語うまいねぇーここどこーきゃんゆーすぴーくじゃばにーず?』
『ここはヨイドーレの里郊外の高野山にある酒場じゃーい』
『ヨイドーレ?きいたことねーなーていうかおれパスポートもってないのよな』
うっ第三の目が疼くっくっくっ!
『夢かー!明晰無ってやつだな。かめはめ波!!!!!邪王炎殺黒龍波!!』
でねぇーじゃねぇか!!くそっつまんねぇー!
『大丈夫か小僧くっくっ。そうとうよっとるのぅー!』
『うるせぇ!すきでよってじゃねぇー!』
あれっ酔っぱらってねえなスピリタスあんだけのんだら胸焼けと二日酔いでしんだほうがましくらいになるもんだが。
『ほれっ火酒じゃ、わしらヨイドーレの里名物高純度の酒じゃ。もじどおりのどに、ひがつくようじゃぞ』
あん?スピリタスなめんなよ!?火酒つってもせいぜいが60%どまりだろうが!のんでやんよ!
ぐぐぐい!と飲み干すぜ!
『ウォロロー』
うわっ、あちちち。文字通りとはおそれいった。夢とはいえはいたいきがもえあがるとわ。
『どういう原理だこれ』
『エーテルがふくまれておるんじゃよ、魔力が気化して酸素と衝突することでもえあがると賢者がいうておったぞぃ』
『魔力かぁーそっかぁ』
なるほどねぇ。とはならんわな。さすがに夢とはいえ漫画や小説の展開に酷似しすぎとるたい。
このままいけばハーレムのおれつえええ展開でうっはうはじゃんかよ!
やったぜ!
ところがどっこい。
『いゃだぁーーーー!!』
もじゃもじゃのおやじばかりじゃー。こんなん、ハーレムとはいわんぞぉー。
どこみてもマッスル。マッスル地帯。マッスルがいんふれ。
あと酒!ぬすんだマッスルが飲酒運転しだしてもおかしくないくらいマッスル!
『小僧!いけるくちだな!のめのめぇ!!』
『まぁいいやのも』
夢ならしなないしいいよね。
火酒と風酒だー!ドラゴンブレスー!
ぶわっとほのおがふきとんだ。
『がははは、リトルドラゴンがおるぞぉー!がははー』
じゃんかじゃんか。
やんややんや、もりあがった。あさまでつづいたが、俺以外はたおれちまった。
くっふういんされしみぎうでが疼くぜ!
あーいいあさだなぁーとりがちゅんちゅんいうてるわぁー。
ってなぁゆめながくない?こんなんみたことないけど?
身体中が熱い。なんだこれ、なんかが漲ってくる。
『おーようさんたおれとるのぅ珍しかぁ!ってなんやにいちゃん!魔力が体臭のようにあふれでとるぞ!』
『なんだこれ身体中がひかってみえるぞ』
『伝説できいたことがあるんごねぇー、勇者は酒に強く魔力が体からあふれでておるってなぁ!』
酒に含まれた魔力が体内を循環しているようだ。
このおっさんたちはひかってないのはなんでだろうか。
からだつきがかわったようなきがするって腹筋ばきばきやないかいー!?
おっさんたちがむきむきなんは酒のせいなのか!?
それなら俺がマッスルをぬすんでしまったのもなっとくがいく。
わけあるかーーーい!!
なんでや!コツコツついてくもんやろ!
魔力も筋肉も少しずつつみかさなってくもんちがうんか?
ん?ちがうんか!?
まぁいいわ。もらえるまんはもろとけの精神やからな。
ほな、またな。
俺が酒場から立ち去った。
後に語られる酒王伝説の誕生である。