8 避難所にて ④
「その男性が、ゴブリンに噛まれたというのは、間違いなのだな。」
「はい、中里隊長。今は、医務室のベッドに縛り付けておりますが、いつ暴れだすが分かりません。」
この小学校にいる自衛隊の隊長である中里学さんと他の幹部の方々に事情説明しているときに、その男性が、自衛官で、昨日の夕方にゴブリンとの戦闘中で噛まれたことを聞いた。今までにも戦闘でゴブリンと接触して体液を浴びたり、爪で怪我を負ったりなどをしたことはあったらしいが、噛まれたことはその男性が初めてだったらしく、それが原因ではという話だった。
それから、2日後、この男性のような人たち(ゾンビ)が、まるで生者を求めるように小学校の周りに集まってくるようになったのだ。自衛隊の人からの話を聞くと、動きは、それほど早いわけではないので倒すことは可能とのこと。ただ、ゾンビに噛まれるとゾンビ化してしまうらしいので銃や槍などでの遠距離の攻撃になるので苦労しているようだった。また、ゾンビの出現は、食材の調達班にも影響を及ぼし、今日はコンビニを物色していた際、1人が噛まれて、犠牲になった。つまり、調達の難易度が上がることになり、ここから食材の不足が始まっていくことになる。
中里隊長は、畑の拡張を炊き出し班に要請した。当然ながら、畑を拡張したからといってすぐに食材は増えるわけでもない。このため、しばらしくして、食事の回数も3回→2回に変更をすることになり、
「おじさん。もう少し多くならない?」
「ごめんよ。」
と今までだったら、それほど言われるようなことではなかったけど、小さい子とかは不満を漏らし始めてきている。何か少しずつ、世界の終わりに近づいているような気がする。