百合令嬢~好きな乙女ゲームの世界に転生したレズビアン~
以前投稿していたのを少し書き直してみました。
「マリー・ダルケン、ジャンヌ・ダルケン! お前たちの悪行もここまでだ! 今すぐ彼女に謝れ!」
やっぱりこうなったわね……
私は目の前で喚いているバカどもを冷めた目で見ていた。
私の名前はマリー・アントワールです。私には昔から他人には言えない秘密がありました。それはいわゆる前世の記憶というものです。まぁ、その前世では冴えないOLをしていた普通のレズビアンでした。
そのときにはまっていたゲームのひとつにこの世界に似た乙女ゲームがありました。まぁここまで言えば察しの良い方は分かると思いますがこの私ことマリー・アントワールは悪役令嬢という役割でした。
「お姉さま……」
おや? 私の可愛らしい妹が心配そうに見ていますわね。
あっ、そうそう。この娘の名前はジャンヌ・ダルケン。私の可愛らしい妹ですわ。公爵令嬢ですわ。彼女もゲームに登場していました。役割はヒロイン。ヒロインが悪役令嬢をこんなに心配そうに見つめないと思われるでしょうがここには深いわけがございます。
そのわけを話すためには一応目の前で喚いているバカどものことも紹介しておきましょう。まぁ、ジャンヌの引き立て役なので不要かと思いますが……
まず、最もうるさいのはこの国の王子ことフィリップ・ルソーでその後ろで俯いているお嬢さんは……なんて名前でしたっけ? とりあえずジェーン・ドゥとしておきましょう。さて、バカ王子はゲームではパッケージでも真ん中に写っているメイン攻略対象でした。私の可愛らしい妹がこれとイチャイチャしているのを想像すると寒気がしてついついこれを処分してしまいそうになりますわね。ジェーン・ドゥに関してはよく知りません。ジャンヌのヒロインの役割を取ったヒロイン(笑)ってところでしょうか?
ジャンヌはヒロインだったのですが私が幼少期の頃から色々と可愛がったことから彼女も私と一緒で男に興味をなくしています。
さて、そろそろ鬱陶しくなってきましたね。終わらせますか……
「……聞いているのか! マリー!」
「はて、何ですか?」
おや? バカ王子の頭に青筋がたちましたね。
「だからさっきからお前らがこのアージュをいじめていたのを謝れと言っているのだ!」
「私たちがそこの小娘をいじめていた? 証拠はありまして?」
「彼女の持ち物を捨てたり、服を破ったり、しまいには階段から落とそうとしたそうだな!」
「だから、証拠を出してください」
「彼女がそう言っているんだからそれが証拠だろ!」
「はぁ? あなたはバカですか?」
「なっ!? 王子であるこの俺に向かってバカだと! もういい! お前たちの態度次第では平民に落とすだけで済ましてやろうと思っていたがお前たちはこの国から追放だ! もうこの国に戻ってくることは許さん!」
あら、いいのかしら?
「分かりました。この国から出ていきましょう」
「何? そんなに簡単に了承するなんて何か企んでいるのか!」
こいつは分かってないのかしら?
「はぁ……後悔なさっても知りませんよ」
「ジーン、衛兵たち、こいつらを捕らえろ!」
バカ王子がそう言うと衛兵たちは何かを気にしてか動けずにいました。騎士団長のバカ息子は向かって来ますわね。
「はっ! お前たち、何をやっている早くこいつらを捕らえるぞ!」
「そうだ! 動かないやつは後で反逆罪で処罰するぞ!」
何を言ってるのでしょうか? まぁ、彼らは動かないでしょうね。
「ええい、もう良い! ジーン、お前が1人で捕らえろ!」
「貴様ら、大人しくしてろよ」
「嫌ですわよ。あなたごときに私もジャンヌも触らせるわけにはいかないわ。バインド」
「ぬおっ! うっ、動けん!」
「なっ!? ジーンの魔法防御力を抜いただと!?」
ああ、そうそうこの世界には一応魔法がありますわ。
「マリー、まだ反抗するか!」
そろそろ、バカ王子に名前を呼び捨てにされるのは苛つくわね。
「ねぇ、バカ王子。私の名前を呼び捨てしないでほしいのですが」
「またバカ王子と言ったな! もういい。ジョージ、こいつらを殺せ!」
バカ王子がそう言った瞬間、バカ王子の周り以外の空気が凍りつきました。
「は~い、悪く思わないでね~。クリムゾンファイア~」
魔法士団長のバカ息子が放った炎が私たちに迫ってきます。
「はぁ、ファイア」
「えっ!?」
私の放った炎がバカの炎を飲み込みバカに迫っていきます。
「ジョージ、避けろー!」
「はへ? ぎゃあー!」
ジョージとかいうのが炎に飲み込まれ燃えていますね。
「まあ、ここで楽に死なせるわけにはいきませんわね。ウォーター」
燃え広がってもいけないので水で消火しますか。
「マリー、ジョージになんてことをしてくれたんだ!」
「あら? 正当防衛ですわよ?」
私がそう言うと私たちに近づいてくる人たちがいました。
「フィリップ、何をしている!」
「あっ、兄上!? 何故ここに……」
そう言えばバカ王子は第二王子でしたわね。このレオ殿下が第一王子でしたわね。
「お前がバカなことをしていると聞いたからだ!」
「私はただマリーたちを糾弾していただけです!」
「それがバカなことだと言うんだ! マリー嬢大丈夫ですか?」
「ええ、国外追放と言われただけですから。もう戻ってくるなとも言われましたが」
「なっ!? なんてことを……」
私とレオ殿下が話しているとバカがまた喚きだした。
「何故兄上がこの女に謝っているのですか!」
「はぁ、近衛たち、フィリップとそこの女生徒たちを連れていけ」
レオ殿下がそう言うと彼に付き従っていた近衛たちが二人と取り巻きを拘束します。
「何をする! おい、アージュに触るな!」
「何で私が! 拘束するならそこの悪女たちでしょ!」
おや? 彼女はあんな声だったのですか。初めて聞きました。まぁ、もう聞くこともないと思うのでどうでもいいですが……
「何でレオがそこの女たちを庇うのよ!」
「ほぅ……」
あら、レオ殿下を呼び捨てですか。もしかしなくても彼女は転生者でしょうね。最後に教えておきますかしらね。
「ねぇ、ジェーン・ドゥさん」
「は? 私の名前はアージュ・コモノリよ! 何で知らないのよ!」
「だって、会ったのは今日が初めてでしょう? それにあなた、何でこんなことになっているか分かってないみたいね」
「そりゃそうでしょ! あんたみたいな悪女を何故レオ殿下が庇うのよ!」
「何故って、やっぱり分かってなかったみたいね。ねぇ、隣国の帝国の時期皇位継承者の名前知ってるかしら?」
「は? 知るわけないでしょ! そんなどうでもいい国のことなんて!」
彼女がそう言った瞬間、会場の空気が固まった。
「じゃあ、教えてあげる。その名はマリー・アントワールよ。ふふふ、私のことよ」
「は? あなた、マリー・ダルケンでしょ!」
「知らなかったのはあなたとその周りの一部だけよ」
そう言えばバカ王子がやけに大人しいわね。あら、事の大きさをようやく理解して絶望しているわね。
「そんな私の国にケンカを売ったのだからそうなるのは仕方がないじゃない。それにね、私が最も怒っているのは私の伴侶になるジャンヌのことをバカにしたことよ」
「あんたたち、女同士でしょ! 何気持ち悪いこと言ってるのよ!」
その瞬間、再び空気が固まった。この子、ある意味才能があるわね。それにしてもバカすぎるわね。
「はぁ、私たちの国にはある魔法があってね。その魔法のおかけで同性でも結婚出来るのよ」
「「なっ!?」」
あら、バカ王子も知らなかったのね。
「フィリップも知らなかったのか……」
レオ殿下も呆れてるわね。
「もう言うことはないですわ。連れていって下さる?」
「ああ、連れていけ」
私は会場に揃っている客に向かって告げる。
「皆さま方、お騒がせしてすみませんね。我々は退場いたしますがこの後も楽しんで下さいませ」
そう言って頭を下げた。そして私たちは会場から出ていった。
別の部屋にて。
「マリー嬢、ジャンヌ嬢、申し訳ありません。」
「いえ、国王陛下。意外と楽しい催しでしたわ」
「あら、ジャンヌは怒っていないの?」
「ええ、だってお姉さまが私を愛して下さっていることを再確認できましたもの」
「あらあら、それは恥ずかしいわね」
「仲が良いようで何よりです。それで息子たちの処罰については……」
「まぁ、私たちにあそこまでのことをしたのですからさっきの二人は処置を施して監禁でもしてくださって。後の人たちは騎士団長の息子と魔法士団長の息子については私たちに直接手を出して来たので騎士団長の息子は両手を破壊して隠居、魔法士団長の息子も魔術回路を破壊して隠居ですわね。残りのメンバーに関しては私たちは特に被害を受けていないのでお好きに」
「分かりました。ジーンとジョージについてはその様に。その他のメンバーについてはこの国の法にのっとって裁きます」
「ええ、それでよろしくお願いいたします。」
「それで婚姻については……」
「ええ、大丈夫ですわよ。私はジャンヌ以外を正室にするつもりはありませんから」
「ありがとうございます」
「ですので安心してよろしいですわよ、お義父様」
そう言って私は部屋にいたジャンヌの父親、ランツ・ダルケン公爵を安心させた。
「すまんな、マリー嬢。娘を頼む」
「ええ、分かりましたわ」
その間、ジャンヌはずっとくねくねしていましたわ。
帝国へと帰って来た私たちを出迎えたのは母であり、女帝であるエリザベート・アントワールでしたわ。
「ただいま、戻りましたわ。お久しぶりですわね、お母様」
「よく戻ったな。横にいるのがジャンヌ嬢か? 可愛いな……」
「お母様でもあげませんわよ」
「お姉さま!」
私たちはお母様の目の前でしたが抱き締め合いました。
「全くお熱いことだな」
「まぁ、お母様には言われたくはありませんわ。今だって両手にお母さまたちを抱いているじゃないですか」
「はっはっは! 隣国では楽しんできたようだな」
笑っていたお母様は急に真面目な顔になって仰りました。
「まぁ、そこそこ楽しかったですわ」
「それは良かった。留学させたかいがあったな。それに色々と隣国に恩を着せることが出来たしな」
「お母様ったら悪い人ですわね」
「まあな。それでお前たちの結婚式はいつにする?」
「そうですわね……もう少し落ち着いたらでいいですわ」
「そうか、じゃあゆっくり休め」
帝国でゆっくり過ごすこと数ヶ月……
「とうとうこの日が来ましたわね」
「ええ、お姉さま。私は嬉しいですわ」
「今日から新たな日々が始まりますわね。さぁ、行きましょう」
その日、私たちは結婚した。




