初ダンジョン
僕たちは、ダンジョン入場の手続きを済ませた後、四ツ谷ダンジョンに入った。
「これが、ダンジョンかー」
初めてのダンジョンに感動して、つい口に出してしまった。この四ツ谷ダンジョンは難易度が1番低いE級だが、どこか別の世界に来たような感じがする。四ツ谷ダンジョンは洞窟型ダンジョンなのだが、天井まで約20mあり、横幅もおよそ30mはある。壁には光る鉱石の光石が埋め込まれており神秘的な感じがする。
そんな風に僕がダンジョンに圧倒されていると
「本当ですね」
と美月ちゃんが言った。美月ちゃんも僕と同じく初ダンジョンなので圧倒されているようだ。
「あんたたち、今日が初ダンジョンなの?もう中2の夏休みなのに」
「う、うるさいなー。せっかく人が感動してるんだから邪魔しないでよ」
「え?あ、ごめん」
意外にも美優は素直に謝った。ギャルっぽい見た目はしているが、根は優しいやつのようだ。
「よし、さっそく魔物を狩りに行こうか」
「「はーい」」
この四ツ谷ダンジョンは全部で十階層ある。僕と美月ちゃんはF級だから、5階層までしかいけない。出てくるモンスターはスライムとコボルトだけだ。一階から四階層までは基本的にスライムしか出現しないらしい。
今日はスライムをある程度狩ったら帰るつもりだ。今は、午前10時なので、午後3時までスライムを狩るとしよう。
「午後3時までダンジョン攻略って事で良い?」
「別にいいわよ」
「はい、大丈夫です」
「了解。それと美月ちゃん僕に敬語じゃなくて良いよ。同級生なんだから」
「う、うん」
「よし、じゃあダンジョン攻略スタート」
それから30m歩いた辺りでスライムと遭遇した。スライムはちょうど3匹なので一人一体相手をすることにする。
「じゃあ、僕は左のスライムを狩るね」
「じゃあ、私は右のね」
「じゃ、じゃあ私が真ん中?」
「うん、そうだね。死なないと思うけど気をつけてね」
「あんたも初めてのくせに何偉そうな事言ってんのよ」
「はいはい。それじゃ、行きますか」
そう言って僕は左スライムの前に立つ。想像通りの流線型ボディに青い色、一目でスライムってわかるぐらいスライムだ。前世で、実はスライムは弱くないという事を聞いたことがあるが、この世界のスライムは普通に弱い。物理攻撃は効きにくいが、核に当たれば一撃で倒れる。その核も半透明ボディのおかげで丸見えなので、まあ雑魚である。酸はどうなんだと思うかもしれないが、酸があるスライムはアシッドスライムと言って別にいる。そういうわけで、このスライムは取るに足らない相手だ。
僕は、修行の時からずっとお世話になってる安物の剣を腰から抜き正面に構える。するとスライムがこちらに向かって突進して来た。スライムの突進なんて当たっても痛くないのだが、HPが一応1削られるらしいのでしっかりと避ける。後ろ抜きになったスライム(後ろ前があるのか分からないが)に向かって剣を振り下ろした。何百時間と剣の素振りをしてきたので、僕の振り下ろした剣は綺麗に一直線にスライムの核を切った。スライムは核を切られたことにより、その可愛らしいボディを保てなくなりただの水溜りになってしまった。その水溜りもダンジョンの効果ですぐに消えて無くなってしまった。
こうして僕の初戦闘は圧勝と言う形で終わったのだった。まあ、スライム相手だけどね。
「あんた結構やるのね」
そう言ってきたのは、美優だ。美優は僕よりも先にスライムを倒し僕の戦闘を見ていたらしい。美優は、魔法系統のスキルを持っているらしくスライムなら一瞬で倒せるのだろう。あいにく、どんな魔法を使ったのか見てなかったが、これから知れるだろう。
さて、後は美月ちゃんだけだが。
「えーい!」
ポヨン
「そりゃあ」
ポヨン
まったく攻撃が効いていない。美月ちゃんは短剣を使っているが全て跳ね返されている。まあ、美月ちゃんは回復系統のスキルを持っているらしく短剣術は持っていないので仕方のないことなのだろう。これじゃあ埒があかないので僕が代わりに倒す。
シュパッ
「えっとー、ありがとう」
「うん、どういたしまして」
「あの、ごめんなさい」
「良いって、しょうがないよ。美月ちゃんは回復が専門なんだから」
「そうよ、そんな気にしなくていいの」
「うん」
「それじゃあ、先に進もうか」
その後、僕たちは午後3時までスライムを狩りまくり今は迷宮の外にいる。今日だけで100体以上のスライムを狩ったと思う。あの後も美月ちゃんは1匹もスライムを狩ることが出来ず、とても落ち込んでいた。家にある僕に使えなかったスクロールでもあげようかな。でも、スクロールは高価なものだから迷惑かな?
「あのさ、美月ちゃん。僕の家に武術系のスクロールあるんだけど、良かったら使う?」
「ス、スクロール!?そんな高価なもの頂けないよ」
「やっぱりそうだよねー。じゃあ、どうしても必要になったら僕に言ってよ」
「家に使ってないスクロールがあるって、あんた何者よ」
「あ、美優ちゃんに言ってなかったっけ?拓也君はS級冒険者の加藤龍介さんの息子だよ」
「えーーー!!!あんた龍介様の息子なの!?」
「そうだけど、龍介様って」
「何よ、別にいいでしょ。そんなことより龍介様のサインとか貰えたりしないの?」
「美優ちゃんそれは迷惑だよ。ごめんね拓也君。美優ちゃんは龍介さんの大ファンなの」
「別に迷惑じゃないと思うけど。父さん若い子にちやほやされるの好きだし。それより、父さんのファンだったとは。あんなおじさんのどこが良いんだ?」
「何言ってんのよあんた。あのカッコ良さが分からないわけ?筋骨隆々の体に、髪型は男らしい短髪で、背も高いし、そしてなによりその強さ。S級冒険者の中でも最強と言われてる強さがかっこいいでしょーが!」
「ま、まあ確かに強いけど、自分の父親をそんな目で見たことはないなー。家では普通のおっさんだし」
「まあ、それはもう良いわ。あんたにいくら言っても伝わらなさそうだし。それはそうと、会いに言っても良い?流石にだめかな?」
(こ、こいつ上目遣いで頼んできやがった。悔しいがめちゃくちゃ可愛い)
「べ、べつに良いんじゃね。て言っても、今父さんは北海道に遠征に行ってるから家にいないけど」
と、僕は目を逸らして言った。
「そっかー、残念。じゃあ、また今度ね」
「う、うん。じゃあ、今日はこれで解散にする?2人が良かったらなんだけど、これからご飯でもどう?今後の事についても話し合っておきたいし」
「私は大丈夫よ」
「私も大丈夫」
「それって、行けるって意味?」
「「そう(よ)(だよ)」」
「じゃあ、近くのファミレスに入ろっか」
「「はーい」」
その後、僕たちはファミレスで4時間ほど話し込んでしまった。ほとんどが美優からの父さんについての質問責めだったが、とても楽しかった。今まで、女の子と話したことあんまりなかったけど、思いの外緊張はしなかった。そして、僕たちはこれから毎週土曜日に一緒にダンジョンに行く事にした。僕もすぐにレベルアップしたいわけじゃないし、美月ちゃんと美優は平日は色々と忙しいらしい。
そして、僕たちはそれぞれ連絡先を交換して家に帰ったのだった。
加藤龍介のステータス
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加藤龍介 lv.96
称号:「豪剣使い」、「筋肉ゴリラ」、「酒豪」
HP:8600/8600
MP:3590/3590
STR:5260→15780 →鬼化使用時のステータス
DEF:3530→10590
AGI:3650→10950
INT:2300→767
LUK:500
スキル
L :
U : 「爆炎剣」、「鬼化」
N : 鑑定、最上級大剣術、最上級格闘術、最上級剣術、上級罠感知.10、咆哮、攻撃力UP(大)
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称号解説
「豪剣使い」
大剣の威力が5倍になる。
「筋肉ゴリラ」
常人の筋肉密度の2倍になる。攻撃力30%UP
「酒豪」
酒に酔わなくなる。毒耐性(大) 任意で解除可能
スキル解説
「爆炎剣」
自身の剣に最上級火属性魔法の爆炎を付与する。威力はINT依存。
「鬼化」
見た目が鬼のようになるスキル。自身のSTR、DEF、AGIを3倍にする。ただし、INTが3分の1になる。
この世界では、スキルは1人10個が限度となっているので大抵の冒険者は、スキル枠を1つ開けてるものです。