冒険者登録
「次の方どうぞー」
ここは、僕の家から1番近くにある冒険者協会新宿支部だ。冒険者協会は、国連が運営している組織で本部はワシントンにある。この世界でも元々はダンジョンがある世界ではなかったが、150年前に突然ダンジョンが現れたらしい。冒険者協会は、その時に組織され冒険者という仕組みを作り、ダンジョン資源を効率的に扱っている。そのおかげもあり、この世界には発展途上国はほとんどない。世界のどこに行ってもインフラが整っており、食料不足の国もないのである。
ここ新宿支部は、日本で1番大きな冒険者協会で日本にいる高ランク冒険者のほとんどがここを拠点にしている。新宿には、Sランクの新宿御苑ダンジョン、Aランクの新大久保ダンジョンがある。その2つの高ランクダンジョンのおかげで新宿支部は日本最高峰の冒険者協会になったのだ。
「えっとー、冒険者登録をしにきたんですけど」
「はい、かしこまりました。それではこちらの用紙に必要事項の記入をお願いします」
「分かりました」
僕は、受付のお姉さんに渡された紙を見る。必要事項は、名前に年齢、性別、任意でスキルを書くところもある。スキルは書かなくてもいいから、名前と年齢と性別を書いて
「書けました」
「はーい、お預かりしますね。えーと、保有スキルの欄に何も書いてないですけど、本当に大丈夫ですか?1つも書かないとなると要注意人物扱いになってしまう恐れがあるのですが」
「えっ!そうなんですかー。じゃあ、書きます」
そういう話なら、任意って書くんじゃないよ。まあ、たしかにスキル1個も書かないのは怪しいか。書くのは、初級剣術と初級弓術でいいかな。その2つを書き受付のお姉さんに渡す。
「はい、これで大丈夫です。それでは、こちらが冒険者カードです。これは身分証明書の役割も持つので大事にしてください。紛失した場合は、再発行に3千円かかってしまうのでくれぐれもなくさないでくださいね。初めての冒険者登録なので、F級からのスタートになります。」
「はい、分かりました」
「それでは、これから冒険者として頑張ってください」
「はーい、ありがとうございました」
僕は、そのまま冒険者協会を出て家に帰ろうとした。すると入口から勇太とレンが入ってきた。
「あれ?拓也じゃん、何してんの?」
「本当だ。久しぶりだな」
レンと勇太がそのように話しかけてきた。
「うん、久しぶり。今日は冒険者登録をしに来たんだ」
「まじ!?やっとなったのか」
「強くなるとやらの目処がついたのか?」
「まあね、これからは僕もダンジョン攻略していくから一緒に行こうよ」
「うーん、そうだなー。俺たちと拓也じゃレベルが違いすぎるからなー。拓也に合わせてる暇もないし」
「そうだな。日本冒険者学校に入るには常に強くならなければならないからな」
「そうだよね。分かった、2人には迷惑かけられないから、僕とレベルが近い人とパーティーを組むことにするよ。それじゃあ、2人とも頑張って!」
「おう、ごめんな」
「すまん」
そう言って僕は帰路についた。2人と一緒にダンジョン攻略できると思ってたけど、そうだよね2人には目標があるんだからしょうがないや。そうなると、これからどうしようかなー。ソロ攻略は危ないし。父さんに相談するか。
僕は、家に着き早速父さんに相談することにした。しかし、父さんは今北海道のダンジョンに遠征中でいなかった。
困ったなー、そう悩んでいると母さんが声をかけてきた。
「お帰り拓也。冒険者登録はちゃんとできたの?」
「あ、母さんただいま。うん、登録は出来たんだけどダンジョンに一緒に行く人がいなくて。」
「それで、浮かない顔をしてたのね。ダンジョンに一緒に行く人かー。あ、ちょっと心当たりあるかも」
「本当?だれだれ?」
「拓也は覚えてないかもしれないけど、小さい頃に一回だけ会った私の友達の子供の美月ちゃんよ」
「美月ちゃん?知らないや。その子は冒険者なの?」
「そうよ。ちょうど1週間前に冒険者になったって言ってたわ。美月ちゃんとダンジョン攻略行くのはどう?」
「じゃあ、そうしようかな。」
「分かったわ。連絡しとくわね」
「はーい」
美月ちゃんかー。可愛いのかな?女の子と2人でダンジョンに行くなんて緊張しちゃうよ。まあ、そんなことより今日も修行修行。
翌日…
僕は今、新宿にあるEランクダンジョン四ツ谷ダンジョンに来ている。ここで僕は、美月ちゃんと待ち合わせをしている。初めて女の子と2人で会うので、待ち合わせ時間の1時間前に来てしまった。心臓がバクバクして落ち着かないや。
「あのー、拓也さんですか?」
その声を聞き振り返るとそこには異世界転生でおなじみの絶世の美女が…いませんでした。そこにはおさげで黒縁メガネの大人しそうな女の子がいた。
「えっとー、美月ちゃん?」
「はい」
どうやら、美月ちゃんのようです。絶世の美女が来ると思ったが現実はそう甘くない。美月ちゃんもよく見ると普通に可愛いし、性格も良さそうだ。年は僕と同い年らしい。
「よろしくね。じゃあ、さっそくいこうか」
「ちょっと待ちなさいよ」
(ん?誰だ?)
「あんた私のこと見えてたでしょ!何無視しようとしてんのよ」
そう、美月ちゃんの隣にはもう1人いたのだ。その子は、ゴリゴリのギャルで美月ちゃんの友達のようには思えない。最初から見えていたが、たまたま近くにいる人だと思ってた。
「えーと、どちら様?」
「私は、美月が男と2人で会うって言ってたから心配してついてきた幼なじみよ」
「あの、ごめんなさい」
おう、何かどっかで見たことあるなー。大人しい子とギャルが幼なじみか。あるあるなのか?
「いや、全然いいよ。えっと、ギャルさんは冒険者資格持ってるの?」
「ギャルさんって何よ、ギャルさんって。私は美優、山本美優って名前があるの。しかも、私ギャルじゃないし」
えー!ギャルじゃねぇーのかよ。ちなみに美優の見た目は金髪ロングで毛先がくるくるしており、格好も派手でどっからどう見てもギャルだ。
「ごめんなさい。それで、冒険者資格は持ってますか?」
「何急に敬語になってるのよ。気持ち悪。冒険者資格なら持ってるわよ、しかもE級だしね」
「E級?山本さんって僕と同い年だよね?」
「山本さんってやめてよね。美優ってよんで。そうよ、私も美月と同じ14歳よ」
中2でE級か、こいつ結構強いのか?てか、中2に見えねー。高校生に見えるわ。
「じゃあ、美優さんもダンジョン入れるみたいだし、行こっか」
「は、はい」
「美優でいいのに。それより、何であんたが仕切ってんのよ」
そうして、僕たち3人はダンジョンに入っていった。
美月の会話を入れるタイミングがなかなか見つからない(;ω;)