第4話 紅に染る
1日に3話投稿したのは暇だったからです、執筆ハイだったからです。
描きたい時に描いて描かない時ははんとしちかくかかない、これぞ箱丸祐介クオリティ
「待ってください2ドアですよ? 3人は乗れませんから!」
「クリーガートランク開けろ、3人なら余裕で乗るだろ」
「乗りませんから、ちゃんと後ろの座席載せてください!」
ゴーズタウン内に点在する放置車両(NPCが駐車しているという設定。)
そのうちの2台ミニバンとスポーツカーをパクリ、5対3にわかれた。
「安心しろ運転は俺だからちょっと瀕死になるくらいですむ」
「死んじゃいます!」
「もういい、さっさと乗れ」
「はい」
クレストが運転、クリーガーが助手席に乗り狭い後部座席にはクイーン。
「で、どう思うベージワン」
「何がだ」
「嬢ちゃんのこと」
「後ろは500m空けて進め」
「イエッサー」
「どうもこうもないあっち側なら裏切るそぶりを見せたら殺す、他の連中もそれでいいな」
「異議なし」
「隊長基準がわかりません」
「要約すると射線上に出てきたら殺せってことだ」
「殺さないでください!?」
「黙れ、レーダー上に敵影。殺していいただのゲーマーだ」
「了解」
「来るぞクリーガー、嬢ちゃん捕まってな」
「はい」
「クレスト、サイド入れて一発避けろ。最低でも2人は殺す」
マップ上に表示されてる敵は8、自身のキルレートを上げるために集団で襲ってくるいわゆるプレイヤーキル集団だ。
「命かけてない奴に俺達が負ける訳ないっしょ」
「だな」
敵が車両からこちらの車に向けてRPGを発射してきたのを確認してクレストがサイドブレーキをかけ車が横滑りしながら、RPGを避けるが弾頭は近くの地面に着弾し爆風が車に当たった。
「ち、避け切れなかったか」
「ほら、いまの当たってたら私死んじゃいますよ」
「クレスト少し口抑えとけ」
「あいよ」
車内で拳銃を二丁持ち、ねらいを定めて放つ。総数21発全員をヘッドショットすれば殺せないこともないが。
視認して分かったのは突撃してくる車両以外は装甲車だった。
車両は計4台、軽車両2台、装甲車2台。
クリーガーから素早く4発の弾丸が放たれ2つは敵の頭部へ、残り2発のうち1発が外れ、もう1発はもう1人の肺に突き刺さった。
「バビロン! 敵の通信ハックしろ」
「はい」
「車盾にして撃ち合うぞ火力も性能もこっちには分が悪いからな」
「は、はい」
「クイーン下がってろ、邪魔だ」
カエルをにらむ蛇のような視線がクイーンに刺さる。
「(一瞬で場の空気が変わった、これが本物の戦いなんだ)」
「隊長ハッキング終わりましたつなぎますただ、こっちの声も聞こえちゃうので」
「構わんむしろ好都合だ」
「だな」
「ボマー、ヘカテー援護の準備」
「了解」
「殺せ」
敵の無線が聞こえるや否や、一斉に銃声がその場に鳴り響いた。
「さぁ、殺し合いの始まりだ。まあ、死ぬのはお前たちだ」
「な、なんだこの音声は」
「案ずるな相手はわずか3、こちらは40多勢に無勢でござる]
「気のせいか?40って聞こえたんだが」
「私もそう聞こえました」
「奇遇だな」
「何言ってるおとぼけ共、前見とけ!」
「多分重なってて正確な数がわかんなかったんでしょうね」
「なーに言ってんだ裏を取れば、宝の山だぜ」
「ああ」
「援護開始だ」
派手な爆発音とともに近くの建物が倒壊し始めた、崩れ落ちた瓦礫が装甲車と近くにいた敵が圧死していく。
「いきなクリーガー」
「ああ」
拳銃1丁とナイフを持ち混乱する敵をばったばったと次々に倒す、クリーガーの実力が発揮されていく。
「嬢ちゃん、なんでうちの隊長があんだけ実力があってこっち側なのかわかるか?」
「どうしてって、員数外の理由ってことですか」
「そうだよ」
援護もせず通信を切って隠れ話し込んでいる理由はただ1つ、援護が邪魔になるからだ。
「なにか悪いことをしたからじゃないんですか?」
「ちがうさ、これは現実での話なんだがな。あいつはたった20の戦力で1000の軍勢に向かう無様なしんがりだった。だが、そのしんがりたちは勝ったんだ」
「え?」
「たった1人の生還者、それがやつだ」
「1000人を相手にですか」
「だが軍はその功績を称えることはなく奴を危険人物として、地下に幽閉した」
「そんな、酷い」
「だが、あいつは。自分は仲間を殺した、そういう自責の念で今仲間を殺すまいとああやって楽しそうに戦場を駆け回っているだろ。でも安心しな、あんたが監視する対象はあいつ以外は本物の戦犯達だ」
「・・・は、い」
返り血で真っ赤になったクリーガーの姿、そして微動だにせず口笛を吹くは誰が見ても、恐怖しか覚えないだろう。
それはたとえ味方であったとしても。
「すげーな、うちの隊長さんは」
「正直、体がすくんでいる」
「へっへっ、お前ら全員ビビってんのか情けねぇなケッケ」
「俺はあんな人に銃突きつけられてたんすよね」
「怖いか? 震えてるぜ嬢ちゃん」
「いえ、わたしは怖くないですよ、話を聞いたら尚更」
「一番肝が据わってるのは嬢ちゃんかもな」
さっきクレストが話した話には続きがある。
敵を皆殺しにし返り血で赤く染まったクリーガーは、涙ながらに国歌を口笛ながら軍団の大将の首と死んだ仲間の死体全てをもって帰還した。
だが、彼は最後まで《《笑顔を絶やさなかった》》友の最後は笑顔で見送りたいからと。
そして彼は以後多かった口数が減り、戦闘の時以外は口笛が絶えなくなった。
「俺はいつまで経っても、大量殺人鬼か」
そんなクリーガーの呟きは誰にも届くことはなかった、だからこそ、彼は1人で十字架を背負い続けるのだろう、死という名の十字架を。