青き竜
「う、うーん。」
ジークは太陽の光で目を覚ました。
「えーと、どうしたんだっけ?」
周りを見渡すと洞窟の中だった。
「思い出した!確かあの竜に連れていかれて...」
その時ジークは自分の体に違和感を感じた。
視線が妙に高く、視野が広く感じた。自分の体を見るとジークは目を見開いた。体が青い鱗で被われ、爪は長く、鋭くなり、尻尾と翼が生えていた。
自分の姿に驚いていると洞窟の外からあの竜が入ってきた。
「起きていたのか。いい姿じゃないか。飯を持ってきてやったぞ。」
そういうと竜は手に抱えていた物を地面に置いた。それは人間だった。気絶しているのか動かない。
「冗談じゃない!人間を食べるなんてできない!」
「お前はもう竜だ。人間を食わないと死ぬぞ。」
「食べるくらいなら死んだ方がましだ!」
「そうか、だがお前は頭の中では分かっているはずだ。食べたいってな。それに、体は正直だぞ?」
ジークは自分の口からヨダレが垂れていることに気づいた。
「ち、違う!これは──」
(正直になれよ...腹が減ってるんだろ?)
頭の中で自分ではない自分が語りかけてきた。
ジークは極度の空腹で我慢することが出来なくなり、体が勝手に動いた。
「ニ...ク...クワセ...ロ」
「フッ、慌てるな。たくさんあるから。」
ジークは人間達の目の前に行くと、次々と人間を口の中に放り込んだ。口の中で転がしたり、飲み込んだり、噛み砕いたり。ジークは口の端を吊り上げで笑った。
「満足したか?」
「うん、美味かった...は!」
そこでジークは自分が何をしていたのか気づいた。
「僕...人間を...?」
「随分美味そうに食ってたぞ?もう立派な竜だな。クックック...」
「お前...!」
「なんだ?満足しただろ?分かっているはずだ。また食べたいと思ってるだろ?お前はもう竜なんだよ。」
「.....」
否定出来なかった。口の中は血の味かしたが、気にならなかった。むしろ、その味を味わっていた。
「それにお前は復讐したいのだろう?人間共に。竜の力ならそれも簡単にできる。悪いことではないだろう?」
ジークはどうすればいいかわからなくなってしまった。
なんか終わりそうになってきたw