2-9 算数
「手紙ってどんな?」
「問題形式なんです。いたずらなんですけど、脅迫めいたことも書いてて。さっき鞄から取ってきました」
遠崎はポケットから二つに折った一枚の便箋とテープを取り出し、俺たちの方へ両手で差し出した。早速便箋に目を通す。
――算数の問題です。計算問題です。君の探し物はここにある。
ここまでの短いセンテンスの集まりが、それぞれが定規か何かでひかれた真っすぐな線と角ばりでこしらえられ、筆跡を隠している。
「いたずらにしちゃ性質が悪いな。お金も絡んでることだし、先生にいった方がいいんじゃないか」
「でも、そしたらまた嫌がらせを受けちゃうので」
「もう受けてるじゃないか。それに、お金がなくなったらその分をどう埋め合わせする。親から金をくすねるか?」
「そんなこと、できません!」
そう強く言うと遠崎はふさぎ込んだように静かになった。かまわず俺は文面の続きへと目を走らせる。
脅迫文の後は計算問題が載っていた。数学というよりは確かに算数だ。
A:19+267+448
B:313+212+244
C:999-888-90
D:3000-2000+4
E:19x6
F:2000÷2+68
X=D+F+C-(A+B+E)
文面はこれで終わり。テープは保存状態のいいカセットテープで、天頂に細いシールでWAM=Kとかかれてある。
「何だこれ」
飯倉も顎に手を置いて便箋を見つめたまま何も答えない。今回の問題は、さすがのコイツでも難しいということか。
「この二つが給食費とどう関係するんだろうな」
「とりあえず、このテープを再生できるラジカセを探しましょう。計算はそれからでも出来ますし」
「ラジカセなんてどこにある?」
「さぁ? 音楽室?」
ごもっともだ、そこならまずないことはないだろう。




