1-1 目覚め
初長編でミステリーを書きました。
今回はあまり読んだことのない、ライトノベルというジャンルに何でもやってやろうの意気込みで
書いた意欲作となっております。
「よく分からない、難しい。ライトノベルじゃない」というご意見がありましたら、それはひとえに私の文章力の拙さとストーリーテーリングのまずさにつきます(*- -)(*_ _)ペコリ
すでに完結しておりますので、順次上げていきたいと思います。
楽しんでいただけたら幸いです。今後も精進いたします。
よろしくお願いいたします。
暗い闇の中で、ずっとひどい息詰まりを感じていた。
どれくらい時が過ぎたろう。ふと、突然に目が覚めた。
閉め切ったカーテンごしに、浅黄色の光が滲んでいる。
身体を起こし、辺りを見回す。何故か手には、風呂敷で包んだお弁当が握られていた。
違和感を感じる、だがどこかで見たような部屋だ。詰襟の制服がかかった向かい側の壁に横長のデスクがぴったりとつけられ、その上で点けっぱなしのPCと数冊の本が同居していた。
目を見開いて俺は咄嗟にPCにとりついた。あいつらはずっと見てるんだ。電気の無駄遣いなんかしてたら怒られてしまう。
PCの電源を落として息をつく俺の眼に、横にあった本のタイトルが目に入ってきた。
高校数学I。
俺はしばしそのタイトルとその下の幾何学模様に見入っていた。
何でこんなものがここにあるんだ。それに、俺はこんな立派な机を使っていただろうか。猫の額ほどの、申し訳程度なローデスクだったはずだ。俺はそこで便箋に――
「嘘だろ」
俺の頭が事態を急速に把握し始める。ベッドのそばの充電器からスマートフォンを取り外し、時間を確認する。
今日は月曜。午前11時45分。
脱いだパジャマをベッドに投げ捨て、制服に袖を通す。社長出勤ならぬ、大統領出勤でも通じないような時間だ。だが、構わない。授業を受けに行くわけじゃない。
俺は着替えると、リビングのテーブルの椅子の上に置いてあった学生鞄を手にとり、家を飛び出した。走りにくい。靴のかかとがはきつぶされている。きちんとはきなおし、自転車にまたがる。
校門を抜け、昇降口にたどり着く。やべ、靴箱どれだっけ。まあいいや、今はそれどころじゃない。そのまま土足で校舎を駆けた。
廊下を歩く生徒たちの間をすり抜け、追う視線を引きちぎるように走る。
あれ、カテキンじゃね?
誰かの声がした。懐かしい響き。口元が緩んだ。
俺のクラスは1年6組だ。が、そこは通過して突き当りの、1年8組の教室へと向かう。
引き戸を開く。時刻は既に昼で、中天の日差しが窓際を浅く舐めている。食堂で飯を済ませに行く学生の方が多いのか、昼食時のこの時間に人はまばらだ。
整列した机の一番端の一番奥。そこに彼女がいた。名前。忘れもしない。
飯倉あいり。
俺が密かに想いを寄せていた子。
そして、30歳の夏。
俺がこの手で殺した女。