お吸い物
お吸い物は美しい。私はこれ以上に潔い食べ物を口にしたことも耳にしたこともない。
鰹節があんなに優れた味を出すのはかつおが海の中を懸命に泳いでいたからである。昆布があれ程豊かに香るのは潮の中で必死の覚悟で岩にしがみついていたからである。彼らの一生、さらには背後にある海の何億年物歴史、その間に積み重なったものが料理人によって取り出され、黄金色に輝く。
こうして出来上がる出汁を器の底で具が待っている。彼らは美しい風土に育まれ、主題、季節に合わせて選び抜かれてそこにいる。すがすがしいくらい簡潔な具が出汁に形を与え、お吸い物を完成させる。
私はこのようなものを作りたいのだ。
四年前くらいに書いた文章が出てきたのでコピペ
今書くなら器にも言及してたとおもう。
お吸い物、あるいはお澄ましを英語に翻訳するときは"Osumashi"とかでなくて、The (soup of) Clarityなんかが良いと思う。