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振り返るとシムラー。
若かりし頃の志村けんを彷彿させるその容姿(=主にオールバックのその髪型)に、こいつのことを会社の人間は全員、シムラーと呼んでいる。
「おいっす」シムラーがいった。「チョーさん。なんとかしてくれませんかねー、この状況。女臭くて仕事になりませんよ」
とはいわれても、どうにもならない。
CEOなどといっても、社員と真正面から言い争う度胸など最初から俺は持ち合わせていない。
「悪いけど、今は揉めてる場合じゃないだろ」
シムラーの手にしているラップトップにはモデム用のUSBアダプタが装着されてる。
自前のLAN環境を作り、サーバーであるタワーPCを複数の人間で使いまわしていた。
「ただでもマシーンが不足してんのに、これじゃあバイトくんにも示しがつきませんからねえ」
今が緊急事態なのだと奴の蜥蜴クラスの脳みそでも理解できるとそう思い込んでいた。
違うらしい。
「カーテンでもなんでも、ご自由に区切ってくれたまえ」
「いや、そうじゃなくてですね」シムラーはいった。「ナナコさんに休んでもらってくださいよ。彼女、どうせ、碌な作業はできないんだから」
「いや、ナナちゃんにも生活があるからね」俺はいった。「できる作業があるんだから、出勤してもらわないとうちの会社的にも困るんだよ」
この会社の給与は実質的に歩合制だ。




