4-12
俺はデブなのだ……
絶望的に気づくのが遅すぎた。
そのことに気がついた時にはすでに、
俺の両足は強く地面を蹴り、
空高く天を駆けていた。
だが──
ナナコ女史の悲鳴、涙、あの表情、駄目駄目駄目駄目駄目、涙目、あの表情、嫌だ、駄目駄目駄目駄目駄目、また涙ぐむ、あの表情、チョーさんが死んじゃうよー、駄目駄目駄目駄目駄目、落涙、涕涙、暗涙、悲涙、紅涙、血涙、あの表情、駄目駄目駄目駄目駄目、ひいひいめそめそしくしく、あの表情、駄目駄目駄目駄目駄目、チョーさんが死んじゃうよー、駄目駄目駄目駄目駄目、時間よ止まってくれ、あの表情、駄目駄目駄目駄目駄目、時よ止まれお前は美しい、しゃくりあげる、駄目駄目駄目駄目駄目、慟哭、嘆き悲しむ、号泣、あの表情、駄目駄目駄目駄目駄目、涙、すすり泣く、駄目駄目駄目駄目駄目、こんなのってないよ、涙がスローモーションの映像のように頬を伝って逃げた、あの表情、駄目駄目駄目駄目駄目、泣き暮れる、駄目駄目駄目駄目駄目、むせ返す、俺はその涙を拭うことはできない、あの表情、駄目駄目駄目駄目駄目、こんなの駄目なんだからね、あの表情、駄目駄目駄目駄目駄目、なぜ、こんなにも鮮明に彼女の苦痛を読み取ることができるのだろうか、駄目だよ、こんなのって駄目だよ、駄目駄目駄目駄目駄目、あの表情、レオギの奴は完全に固まり思考を停止していた、時間は止まらなかった、あえなく重力に引かれて、駄目駄目駄目駄目駄目、俺は奈落の底へと落下していく──




