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おそらく奴に意識はないのだろう。
心臓を撃ち抜かれた獰猛な猛獣の如く奴は暴れまわる。
なにが奴をこれ程までに突き動かしているのか……その時の俺には理解することはできなかった。
振り払われても振り払われても、ゴリラ野郎は必死にしがみつく。足元を捕らえられ、シムラーの動きは徐々に鈍っていった。その瞬間に──
俺はチョップブックを掴む。
これが最後のチャンスだ。
躊躇などしていられない。
「シムラー、お前は斬首だー」
全体重を乗せ振りおろした。硬い物で柔らかな物を潰した感触。直後に鈍い音。手が痺れた。カクリとシムラーの奴の首があり得ない方向に垂れる。
俺は人を殺した。こんなくだらないOSのアップグレードの為に人間をひとり殺してしまった。




