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マウントからの一撃。粘着質。続ける。
死なない程度に、何度もくり返す。また、パンチ。
口のなかに血の味が広がっていく。
奴はこういう。「すいませんね。僕の専門は空手じゃなくてムエタイの方なんですよ」
肘・膝・キック・パンチ・首相撲がOK──それでも、相手への金的は反則技じゃないのか?
「なんで隠してた?」と俺。
「実はひとり殺してましてねえ。若い頃の喧嘩ですよ。
会社に格闘技マニアが数人いるから、バレたらマズいかなって」
「それでボコボコにされたのか?」
「ヘナちょこパンチでやられるフリは正直キツかったですよ」
「うちの会社で、10へのアップグレードを仕込んだのはお前か?」
「そうですよ。どうです、完璧に社員を演じていたでしょう。
証拠隠滅の為に、ナナコさんのPCを破壊したというわけですよ」
「普通、そこまで、やるか……」
「ふふふ」
笑いながら奴はいった。
「ところで、どうして、同じようにあなたのタマを潰さなかったのかわかりますか?」
「弄ぶつもりなんだろ」
「違いますよ。潰したら、切断することができないじゃないですか」
「そんなに俺のことが憎いのか?」
「それも違う。僕はあなたのことが大好きなんだ。食べてしまいたいぐらいにね。
僕はあなたのことを愛しているんですよ」




