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4-1

 MS社の追跡を躱しながら、樹海周辺を彷徨い歩いた。


 人間はどこまでも鈍感になることができる。殺される人間を見ても殺す人間を見てもなにも感じなくなってしまうのだから。


 なんとか、俺とゴリラ野郎は今日のこの日まで生き残っている。


 そして、本日、7月29日、10への強制アップグレードはもうすぐ終了する。


     *


「あんたは良くやったよ」


 ゴリラ野郎がいった。湿気た煙草の葉巻。最後の一本にマッチの炎をかざし、肺の奥まで奴は一気に吸い込んだ。あわてて煙を吐きだす。


「上等じゃないか。まさか、あんたが最終日まで生き残っているなんて思いもよらなかったよ」


 煙は夜の空に溶け込んで消えた。静かだった。やけに静か過ぎる。


 ざわざわと、風が吹き荒れ木々の枝々を擦りあわせる音しか聞こえない。


「あと数時間の辛抱だ。なんとしても生き延びる」


 アドレナリンが身体中を駆け巡っていた。

 やけに気分が落ち着かない。

 あらゆる感覚が麻痺し始めているのだろう。


 7の絶対数確保も、10へのアップグレードも、正義も悪も、意義も定義も、もはや、全ての事柄が俺のなかでどうでも良いことのように思えていた。


 これはゲームなのだ。ただし、命がけの……勝つのはきっと俺たちの方だ。

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