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バス停には蝉の声が鳴り響いていた。
ベタ過ぎるが夏を感じさせる。
それは油蝉の声。
ねっとりとした湿気とあいまって、非常に不快な気分にさせる。
俺には夏を楽しむ余裕など微塵もなかった。首筋の汗をナナコ女史が拭う。彼女に気づかれぬよう唾を飲み込んだ。欲望で下半身が硬直している。
遠くからバスが姿をあらわし、このバス停にむかって近づく。この夏の暑さで蜃気楼のように周辺の空間は揺れ動いていた。
ゴリラ野郎は茶屋の方で煙草の煙をくゆらせている。こいつとも、もうお別れだ。停車したバスの中折戸が開く。
ワンピースの裾を押さえて、先にナナコ女史が登る。くっきりとしたお尻の割れ目が布地の上から透けて見えた。ノーパン……
先に料金を払った。乗り込まない俺の方に彼女は視線をむける。
バスの運転手も怪訝な表情。




