3-18
峠の茶屋に俺たちがたどり着いた時には、見おろす里の方角からモクモクと煙があがっていた。
ゴリラ野郎の運転する大型バイク。後部座席にはボーダーラインのワンピースを着たナナコ女史がたわわなお胸を押しつけている。
デブの俺はなぜか側車。
「あの、すいません、ちょっと、トイレ」といって、ナナコ女史は店の奥へといってしまう。
どうやら揺られ過ぎたようだ。ゴリラ野郎の運転は荒い。
茶屋の女主人に団子とお茶を注文するとゴリラ野郎はいった。「おい、ここから先は女を捨てていけ!」
「いきなり、なんだ?」
「見ての通り、MS社も本気だ。里から煙が出てたのあんたも見たよな。ここから先は女は足手まといだ」
「彼女にそんなこといえないよ」俺の為に(??)何度も柔肌を晒したナナコ女史。「彼女に何度も俺は助けられている」
そうだ……おそらく、ナナコ女史がいなければ今頃俺は発狂していたに違いない。
「あの女があんたにとって特別ならなおさらだ。こっから先は命の保証はできないぜ」
「そんなことをいわれても……」
「はっきりしない野郎だ」
そういうと、ゴリラ野郎は団子の串に食らいつく。一気にお茶で流し込んだ。
「あちちちちち、とにかく、女連れならあんたをもう連れていけない」
「そっちはどうするつもりだ?」
「俺のことはいいんだよ」
ゴリラ野郎はいった。
「御前からお預かりしたPCは俺が守る。あんたは東京に帰って警察に自首でもなんでもするんだな」
「人が多い方が7を確保できる確率は増えるんじゃないのか?」
「それが、そうとも限らないんだな」
鬼気迫った表情のゴリラ野郎。
「生き残るつもりのない人間と生き残るつもりの人間。神様の転がすサイコロの確率は残念ながら平等にはならない。俺は恐れてるんだ。人は他人に影響される。あんたらのペースに巻き込まれたら、正直俺自身の命も危ない」
「彼女を置いてはいけない」
「好きにしてくれ」
ゴリラ野郎はいった。
「三時間に一本、この峠をバスが通る。逃したら、次は夕方までない。それまでにどうするのか決めておいてくれよ」




