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視姦。老人は視線で、ナナコ女史の身体を上から下までなぞった。
「MS社の今回のアップグレードには並々ならぬ気迫を感じる。
わしらの側も多大な被害を被る可能性があるわけです。
かなりのリスクが存在しているということをあなた方も理解していただきたい」
「つまり、どういうことだ?」
「リスクに対して見返りを用意していただきたいわけですなあ」
「申し訳ないが、あんたらに提供できるものはなにも持ちあわせてはいないんだ。
今はこんなんだし、うちの会社はそこら辺の大企業どもとは勝手が違う」
「そういう訳でもないでしょう」
再びナナコ女史に目をむけた。まさか……。「あなたは大変な宝をお持ちだ。自分では気がついていないようですが」
「ちょっと待ってくれ!」俺はいった。「あんたは勘違いしているのかしれないが、彼女はうちの会社の社員にすぎない。個人的な関係もなんにもない。単なる上司と部下だ。社員の肉体をあんたに差しだせっていってんのか!?──そんな前時代的なことがまかり通るわけがない!!」
「よろしいのですか? ひと時の感情に流されて自分の理想を見失ってはなりませんよ」
老人は睨みつける。俺に理想や理念なんてなにもないにもかかわらず。
「あなたはきっと、のちのち後悔することになる。さあ、私に宝を差しだしなさい」
「断る!」
その時、突然、俺の手を強く握りしめナナコ女史がいった。




