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「おはよう、ナナちゃん」バクバクと鳴る心臓が口元から今にも飛びだしそうだ。「朝から流石にその格好はマズいんじゃないかな」


 時代の最先端であるIT企業の最高顧問という立場からいったつもりだった。


 勿論、社会的なモラルを考慮すると当然の発言だ。


 若い女が汗まみれになって仕事場でエアロビなんぞをしているわけなのだから……


 セクシー過ぎる。


 げんに、俺は本日のお仕事が手につきそうにない。


 なのに、ナナコ女史は、


「おいっすですよ、チョーさんさん。私のことにはお構いなく。どうぞ、お仕事にご集中してくださいませですよ」


「いや、そういうわけにはいかないよ」と俺はいった。


 いつから会社責任者の権限は日本全体からこのように剥奪されてしまったのだろう。


 ある意味、労働者全体の勝利ともいえなくもないのだが、困ったことにうちの会社はブラック企業である。


「それと、俺のことをいかりや長介みたいに扱うのはやめてくれないかな」


「なんでですか~」やけに艶っぽい視線のナナコ女史が下から見つめてくる。「みんなから好かれている証拠ですですよ~」


 いや、おかしいだろう……俺はいかりや長介というよりは高木ブーのような体型をしている。


 であるにもかかわらず長介扱いというこの理不尽さ。


 そもそもCEOである俺のことを誰も社長とはいわずチョーさんなどといいほんの少しでもお偉いさんだとは思っていないのだからザマあないという感触とともに非常に屈辱的気分になってしまうのだった。


 初めからわかりきった結果なのだが、毎度のごとくこの不条理な現実を受け入れられない。


 社会の良識がきっと俺のことを突き動かしているのだろう。

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