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俺はいった。「どうなってる……タイムスリップでもしたみたいだ」
「元々はスマホ中毒の連中を隔離して押しこむ施設だったんだがな……」
「私、なんか聞いたことあります」
ナナコ女史がいった。
「ネット断ちさせるんですよね。ゲーマーにとってネトゲーするのは麻薬中毒患者がドラックをキメるのと同じですから。前の職場にも何人かそういう人いましたよ……」
ネット中毒のAV女優か?……いや、居酒屋の店員のことなのか?……もしくは劇団員?……一瞬、焼き鳥みたいに串刺しにされた、火炙り全裸のAV男優がなぜか脳裏に浮かび、俺の気分は不機嫌で不可解なものへと変わる。
「リハビリ施設で社会性回復ってヤツさ。いつの間にかこんな街並みになっちまった。
ここでは、全てのインターネット回線は遮断されてる。スマホを見てみろ」
俺はポケットからスマートフォンを取りだし電源ボタンを押す。「どうなってる、スマホが文鎮だ」
「でも、おかしくないですか?」
ナナコ女史がいった。
「ネットに繋がらないなら、どうやってこちらのゴリラさんは私たちに連絡してきたのですですか?」
「詳しいことは後で説明する。行くぞ──」
「行くってどこに?」俺はいった。
「ある高貴なお方の元へだ!」ゴリラ野郎は続ける。「御前にご無礼を働くなよ!」




