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「俺はそんな高度な技術は持ちあわせていないぞ」
「でも、会社経営者なんだろ。世間はそんな風には思ってはくれないよ」男はこう続ける。「だから、餌として最適なんだ。あんたらには7月29日まで逃げまわってもらう。ただ、それだけだ」
「どういうことだ。その説明じゃわからん」
「ふー、お察しくださいよ」奴はスマホを素早くスワイプ。ニュースサイトに飛ぶ。一面に俺の顔。なぜか、指名手配されてる。「サイレントマジョリティを考慮するとどうしてもこういう結果に落ち着くんだよね」
「なんで、こんなことになってる?」
「うちら、仕事が速いんだよ。勿論、リークしましたよ。あんたらはもう立派な国家反逆罪ですから」
「おい、だけど、なんで……」
「Linuxベースの国産OSさえ開発していたらこんな事態には陥らなかったのかもしれない」男はそういって続ける。「7月29日をすぎて、あんたらの持っている7が無事ならば回収させてもらう。GPSが仕込んであるから逃げられると思うなよ。駄目なら駄目で、こっちは駄目元。なのでOK、ガッツ、石松牧場。餌は餌なり、泳ぎ泳いで、もらう寸法」
下手くそなラップ。妙な韻を踏んでる。俺の手にしてるUSBの中身は実はそのLinuxだ。なんかの役に立つかとダウンロードしておいたが、まったく別のご利用の仕方だった。




