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「確かに」俺はいった。「ならば、俺がお前の部屋に行くよ。もしくは、俺の部屋にお前が来ればいい」
「今の会話を聞いたら、僕たちのことをゲイのカップルだと誰もが疑いますよ」苦々しい表情のレオギ。「ナナコ女史のお気持ちも少しはお察しください」
「なんだか、注文が多いな」
「それに、チョーさんと同室なんてご免こうむりますね」レオギがいった。「自分ではわからないかもしれませんが、あなた、いびきが酷いんですよ」
いきなりなにをいい出すんだ……
「そういうわけで、僕はチョーさんと寝るのは拒否いたします」拡大解釈。俺にそんな趣味はない。覚悟を決めてください、とレオギは続ける。「あと、トイレのご使用にもご注意ください。びっくりしますよ、あの臭さ。ナナコ女史のことを本当に大切に想っているのなら。部屋で用を足すのはご遠慮くださいませ」
なんだか、野糞でもしないといけない勢いだ。別れた妻の言葉を思いだす。冷めた眼差しとともに、彼女が俺に投げかけた最後の言葉──
「あんたのウンコ臭いのよ! 毎日、掃除する人間の身にもなりなさい!!」




