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パクチーとイカのサラダを、俺は無理やり白ワインで流し込んだ。
なぜか舌が激しく痺れてる。
戸惑いを隠せない俺を尻目にレオギの奴はラム肉にかぶりついていた。
実に美味そうに奴は食事を続ける。
俺はというと……運ばれてくる料理はどれもこれもバカ高いものばかりなのだろうが、味はまったくというほどわからなかった。
いや、なんなんだ……
ナナコ女史はアサリとマッシュルームを口元に運ぶ。
慣れないその手つき。
ホルターネックのナイトドレスなんてなんで着てる?──胸元がシースルー素材で際どく透けていた。
首のまわりでダイヤのイミテーションが輝いてる。
俺とレオギは型通りのカジュアルな服装。
リゾートでリラックスしている装い。
他の客もだいたい同じだった。
ナナコ女史だけが強烈に浮きまくっている。
なんで、そんなに気合いを入れる必要があるんだ?