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「なあ、そろそろ帰った方がいいんじゃないのか?」
「恐れ入谷の鬼子母神」
「きっと、君のまわりの人間も心配してるよ」
「その手は桑名の焼き蛤よ」
「そんなこと、こんなことナナちゃんにやらせ続けたら、女性の人権を擁護する団体に目をつけられちゃうよ」
「なにが南京唐茄子南瓜」
「いや、意味わかんないから……」
「犬だニャー」
「いい加減にしなさい!」
不意に笑顔と画面を俺にむけた。
「これ、凄く楽しかったですね」
待ち受け画面には、去年、うちの社員全員で参加したハロウィンパーティー。
俺は誰よりも雷様のコスプレがよく似合うのだ。
「また、連れて行ってくださいね」
いつもこの笑顔に俺はやられてしまう。