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ほとんどのIT系がダウンしているこの状況で、仕事は引く手あまた。
年会費を払ってこのホテルの機材とスペースを確保していたうちの会社は珍しく勝ち組である。
強制的に休暇を押しつけられた会社の連中には申し訳ないが、こんな休暇(いや、勿論、お仕事なのだが)もたまには悪くはない。
「なんか、押しかけ女房みたいで……」モジモジとナナコ女史がいった。「なんか、すいませんですよ」
押しかけ女房というよりは完全に困ったちゃんなのだと思ってしまうのだが、ナナコ女史が押しかけて来てからの俺の作業能率は30%以上上昇に転じている。自分自身に呆れてしまうこの有様だ。
会社の機材が全ておじゃんになり→しばらく強制休暇→俺とレオギは富士にあるこのホテルに宿泊→ストックしていた機材を使って顧客の為にお仕事を続ける→ナナコ女史がどこからか合流→私も会社の力になりたいんです→ホテルに無理をいって、もう一部屋確保→特に任せられる仕事もない→ニヤけたレオギが水着でナナコ女史が泳いでるとチョーさん喜ぶよ→そんなバカな……→セクシー過ぎる水着をどこからか持ち込む→泳ぎの合間に顧客との連絡をとってもらっているというのが現在の状況というわけだ。