キミの攻撃。
日課になっている、帰宅したらすぐにの
《ただいま》
メッセージ送信。
〈おかえりなさい〉
返信がはやい。
良いタイミングで送信できたんだ。
《お風呂入ってくる》
〈はーい。ごゆっくり〉
今日は、暑かった。体も顔もベタベタする。
このアパートに住んでから湯船に浸かったことがない。まぁ、シャワーで足りてるからいいんだけどね。
キミは、浸かる派というか長風呂だよね。暇さえあれば風呂に入ってるような感じで、夏場なんて何回はいるんだか。
俺なんてカラスの行水。たぶん10分もかかってないんじゃないだろうか。
シャワーを止めて体を洗っていたら着信音が聞こえる。
あれ?着信音が鳴り止まない。
なーにやってんだかさー。
犯人は分かってる。こんなことするのはさ。
風呂を出てタオルで髪を拭きながら携帯をみてみれば。
ほら、キミだった。っていうかキミしかいないよ。
《スタンプ攻撃してみた!何個たまった??》
俺からの返信を、ワクワクしながら待ってるんだろうな。
数を確認してちらっとスクロールしてみれば何やってんだよ。本当に。今、絶対に顔がニヤけてる。
《114》
数だけ送ってみる。
すぐに既読がつく。絶対に待ち構えてたな。
返信の代わりに着信がくる。
「ねぇ!ビックリした?」
興奮しながら早口で言うキミ。
まったく、開口一番にそれですか。
『お風呂中に着信音がすごかったから何やってると思えば』
「私、すごい?」
キミはやりきったことに満足してるのかな?
俺が気づいてるともまだわかってないのかな?
『すごいすごい。メッセージがこんなにくるなんて思っても見たこともないよ。』
「初体験おめでとう!」
そうだね。こんなにたくさんメッセージがくるのも、その間に言葉が隠れていたのも。
全部はじめてだよ。初体験だよ。
『それいいね。』
「いいね。いただいちゃった。」
まったく。キミの発想にはビックリさせられるよ。
『いいね。あげるよ。』
キミが望むならなんでもあげる。
『俺が風呂に入るの狙ってたの。』
「はい」
素直だ。
『送っていたときのお気持ちをどうぞ。』
「オラオラオラオラオラー?」
こらこら。俺の好きなキャラの真似かよ。
『もしかして、声だしながらやったの?』
「連打攻撃したのですよ!掛け声はこれでしょ?」
『まぁ、連打ですね。』
今日はキミに笑わせられてばっかりた。
「いいね。いただけます?」
『あげちゃう。あげちゃう。』
まったく、キミって子は。
「わーい。2個目GETだぜ!」
なんか、キミにやられてばっかりだ。
『送り終わってドヤ顔したでしょ?
』
さてと、仕返ししていかなきゃ。
「なっ!!」
『したでしょ』
「たぶん」
たぶんじゃないでしょ。ドヤ顔してるキミしか想像ができない。
「はやく、お風呂から出てこないかワクワクして待ってました。」
『かわいいね。』
俺が帰ってくるのと、風呂から出るのを犬のだったら尻尾振って待ってたに違いない。
『ありがとね。俺も同じ気持ちだよ。』
「ばれた?」
『はい』
「気づかれないかと思ったのに」
『ちゃんと確認しましたから。』
スタンプは、メチャクチャだったけどね。
「残念なような、嬉しいような。
…恥ずかしい。」
『ちゃんと、言って?』
やられっぱなしは、性に合いませんのでね。
「ばか」
『あれ?違うよね?』
「意地悪。きらい」
「俺も同じ気持ちでいいの?」
「やだ!」
『だったら?』
すーっと息を吸うのが聞こえた
「すき」
『よくできました。花丸をあげましょう。』
「いじめっこなんだから。」
キミがカワイイから
からかいたいし、いじめたくなるし、いろいろちょっかい出しちゃうんだよね。