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化け物!?屋敷にようこそ

ケバケバしいネオンを潜り、俺は店のドアを開けた。


「いらっしゃいませ〜!」

赤や青や黄色のライトがクルクルまわる中で、化け物!?…いやいやそんな事を言ったら悪いな。

オカマちゃん達がショーを繰り広げてた。

「あら?あらら…優介ちゃんじゃないの!」

相変わらずケバい化粧にセンスの悪いドレスだな。

店でママをしてるリンさんが俺に近付いてきて、そのごっつい手で俺の事をギューギューに抱きしめた。

「苦しいんだけど…」

「あらら、ごめんなさい」

リンさんは慌てて俺から離れると、ウルウルした瞳で俺を見つめる

「優介ちゃん、久しぶりね!会いたかったわ」

リンさんはそう言って、自分の顔を俺の顔の方に近づける

ゲッ!ゲゲッ!!

やめろ!唇が他の生き物に見える!

「ママ!一人だけずる〜い!」

そう言って、他のオカマちゃん達が駆け寄ってきて、リンさんを羽交い絞めにして上に乗っかる。

あっとゆう間に化け物のピラミッドが出来上がった。

「てめえら!!どけろ!重てぇだろう!!!」

リンさんのドスのきいた声が響き渡った。

さすが、本名佐々木銀次郎、もと暴走族の頭、昔はかなり有名だったらしい。

リンさんはドレスの裾を整えると、ニッコリ笑って俺の手をひいて奥のボックス席へと連れていく。

この変わり身の早さがちょっと怖い。


楽しい…なんとか楽しめそうだ…此処へ来てよかった。

嫌な事を少しは忘れられる。

俺は目の前に置かれたウィスキーを一気に飲む。


リンさんが俺の横に腰を下し、笑みを浮かべて俺の方を見る。

頬の傷に気付いたらしく、傷を優しくなぞった。

「…何かあった?」

リンさんは俺の顔を覗き込むようにしてそう聞いてきた。

全てを見透かされてるような、そんな感覚に陥る

「別に」

気まずくて、言葉が短くなった。

「何もなかったって顔じゃないわね」

リンさんはウィスキーを注ぎながらそう言った。

「女にでも振られた?」

リンさんの唐突な問いに、一瞬ドキッとした。

悲しい事に、はずれてはいない。

「それとも、もっと他の何かかしら?」

それもはずれてない…

そう、他の何かの方が心に重くひっかかっていた。

リンさんは俺の表情を伺いながら、俺の頭をクシャクシャと撫でる。

「もしも業界を干されたら、うちにいらっしゃい!優介ちゃんならきっと売れっ子になるわ!」

リンさんはそう言い、自分のグラスを俺のグラスにぶつけて、ニッコリ笑うとウィスキーを一口飲んだ。

きっと、これは本気で言った言葉じゃない。

だけど、今の俺には嬉しい言葉だった、少し心が軽くなったような気がした。

時間と共に酒の量も増えていく…

自分の中の不安を酒で押し流すように飲んでいた。



昨夜、俺はかなりの量を飲んだ…記憶が飛んでる…記憶がない!?…あれ?

頭いてぇ〜…

カーテンの隙間から差し込んでくる光が眩しくて、頭に響く。

ここはどこだ?

俺は寝返りをうつように体制を変えた。

あれ?…へ!?…えぇぇぇ!!!!

俺は驚きすぎて、ベッドから転げ落ちた。

横に寝ていたのは、知らない男だった!

男は俺が転げ落ちた衝撃で、目を覚まし上半身を起こす。

「あら、優介ちゃん、おはよう!ウフ」

ウフ!?…リンさん!?…リンさん?…って、どうしよう俺、もしかして!?

「なにその顔!憎らしいわね。何もしてないわよ。」

よかった〜…その言葉を聞いて安心した。

そう言えば、俺、ちゃんと服着てた…ハハハ

俺は頭を掻きながら立ち上がる。


「優介ちゃんがあんなに飲む所を見たの、あの時以来だった…」

リンさんが呟くように言う

あの時?…ああ〜あの時ね…澄香が死んだ時…か…

「何があったのかはあえて聞かないけど、困った事があったら言ってね…もと族の銀次郎、まだそれなりに顔はきくんだから!」

リンさんはそう言って、俺にウィンクした。

ウィンクはともかく、そう言ってくれた言葉は嬉しかった。

心にリンさんの言葉が浸みて、目頭が熱くなるのを感じた。


リンさんありがとう

俺は心の中でそう呟いた。



優介の悲しみの部分を知ってるリンさん、優介もまたこのゲイバーに行くことが楽しくもあり、安らぎの一つなのかもしれない。

次回は麻未が家を出た理由がわかってきます。麻未もまた心に傷を負っている…

お楽しみに!

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