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泡に包まれたとろける時間

もう夏も終わりに近い…日が落ちるのがだんだん早くなってきている


服部の事件の後、私は警察の事情聴取とかでバタバタして、優介も同様に警察の事情聴取、それにマスコミ関係に騒がれて大変だった。

全てが全部終ったわけではないけど、1ヶ月が経とうとしている今、私達も落ち着いて会えるようになっていた。


あの後、服部の父親は体調を崩して入院してしまったらしい…。

佐倉さんは順調に回復して退院した。

今まで色々な事あって、不安な日々を過ごしてきた事がここにきてなんとなくまるく納まりつつある。

本当によかった…。


今日は久しぶりに優介とデート…。

服部が逮捕された事で、優介の仕事もいきなり忙しくなり始めて、まともな休みは本当に久しぶりだった。

優介の小さな軽の車に乗って…どこに連れて行ってくれるのかな…

私はそんな事を思いながら、優介の顔を見ていた。

「そんなに見たら俺の顔に穴が開くだろう…」

優介は愉快そうに笑いながらそう言う。

「だって優介の顔を近くで見るの久しぶりなんだもん!」

私がそう言うと優介は優しく微笑みながら私の頭を撫でた。


車は大きなホテルの駐車場へと入って行く…

ホテル!?…今日のディナーはフレンチ!?…かな…

車はホテルの駐車場に止まる。

優介は車から降りて、私の方のドアを開ける…私は車から降りた。

私にはこれから何が始まるのか、まったくわからなかった。

優介は私の手を握って、手を引きながら歩きエレベーターに乗る。

目指すは最上階!?

「どこに行くの?」

私がそう聞くと、優介は微笑むだけで何も言わない…何だろう???

エレベーターは最上階に着いて、一番奥の一番大きなドアの前まで歩いていく。

優介が持っていたカードキーでドアを開ける…そこはもの凄く豪華なスイートルームだった。

優介は私の手を引いて中に入る。

「どうしたの?」

私が聞くと、優介は大きなベッドに身を投げ出すように寝そべる。

「ここね…今度のドラマの撮影で使う部屋なんだ…だからその前にちょっとわがまま言って借りちゃった…もちろん格安で!」

優介は嬉しそうに笑いながらそう言った。

「また明日から仕事だろう…そしたらなかなか会えなくなるし、特別特別」

優介はそう言いながら両手を広げる

「おいで…」

私はその言葉に吸い込まれるように、優介の胸に飛び込む…。

優介の鼓動が耳元で聞こえる…この音を聞くと安心する。

優介の手が私を抱きしめる…

「今日はお泊りデートです…外でのデートだと周りがうるさいだろう?それじゃなくてもここの所色々と忙しかったし…」

お泊り?…そう言えば優介とそんな風にお泊りデートなんてした事なかったな…。

フフフフ…なんだか嬉しい…。


え!?何?この音楽…。

いきなり優しい心地のいい音楽が部屋の中に響き始める…。

優介が立ち上がってドアを開ける。

へ〜…ここのホテル呼び鈴の変わりに音楽が鳴るのね…

外にはホテルの従業員の人が立っていて、ワゴンに沢山の和食料理を並べて持って来た。

スゴ〜イ!!こんなの初めて…なんだかお姫様になったみたい…

部屋にある大きなテーブルの上に料理を並べる…。

今まで食べた事もない料理が並ぶ…

従業員の人は並べ終わると部屋から出て行った。

私はテーブルの周りをゆっくりと回ってみる…もう顔が緩みっぱなし…。

「さあ、食べよう!」

優介がそう言って、椅子を引いてくれる…。

私は椅子に座った…もの凄くいい匂いが漂っている…。

箸だって割り箸じゃなくて…綺麗な…たぶん漆塗りの箸…はぁ〜なんだかため息が出ちゃう。

「ちょっと堅苦しかったかな?」

優介の言葉に私は思い切り首を横に振る。

「そんなに首を振ったら、首が千切れるぞ!」

優介はそう言って、ケラケラ笑ってる。

私はお料理を摘む…口に入れると…感動した…美味しい!!もの凄く!!

私は夢中でお料理を食べる…。

そんな私の姿を見て優介は楽しそうに笑っていた。


「麻未に渡したいものがあるんだ…」

優介がそう言って、胸の内ポケットの中に手を入れて、中から出したもの…それは指輪だった。

よく記者会見とかで何カラットとかそうゆうのが話題になってるけど、そゆう感じじゃなくて…石の付いてないリング…だけど全体に波打ってるようなカットがしてあって、ものすごく私好みで、素敵なリングだった。

「麻未のイメージで選んだんだ…この間あげた空の入れ物の中に入れてくれるかな?」

私は大きく頷きながら優介の前に左手を差し出す。

優介は私の手を持って、そっと薬指にその指輪をはめてくれる。

「結婚してください」

優介は私を真っ直ぐに見つめてそう言った。

「はい」

私は嬉しさのあまり泣きそうになる…。

優介が静かに立ち上がると私の方に歩いてきて、私の背後にまわり後ろから私を抱きしめて、そっと頬に口づけをする。

優しく温かい感触…。


「麻未…一緒にお風呂に入ろう!」

いきなりそう言って優介が満面の笑みを浮かべる…

私は思わず笑っちゃった…その笑顔があまりにも可愛くて…

この部屋には大きなジャグジーバスがあった…しかも全面ガラス張りで夜景が綺麗に見える。

優介が慌しく動き始める、ジャグジーバスにお湯を入れて…なんだか知らないけれど洗面所から何個もアロマキャンドルを持ってくる…。

そんな優介の行動が、可愛らしくて…そんな姿を見ているのがとても楽しかった。

こんな時間を過ごせる事がとても嬉しかった。

優しくて温かくて心地のいい時間…。


優介…大好きだよ…

私は心の中でそう呟いてみる…そしたら優介がこっちを向いて近付いてくる。

「今、呼んだ?」

そう言う…

え!?…まさか聞こえたわけじゃないよね?…私はそう思いながらビックリした。

私は思わず首を横に振る…そんな私の姿を見て優介は楽しそうに微笑んでいた。


優介がリモコンで部屋のライトを消す…するとバスルームの周りにおいてあるキャンドルの火の光だけが浮かび上がって、バスルームは幻想的な空間に変貌した。


へ〜…優介ってけっこうロマンチストなのね…

私がそんな事を思ってると、優介が私の手をとって私を立たせる…

優介の瞳の中に私が映っている…優介の手が私の頬を包み、そして唇と唇が重なる…。

優介の顔にできる陰影が優介の端整な顔立ちを際立たせていた…。

お互いにお互いの服に手をかけ、服を脱がせていく…。

優介に手を引かれ、バスルームへと向う…。

湯船は泡で埋め尽くされていた…まるでアメリカの映画みたい…。

私と優介は向かい合い泡の中に体を埋める…

こうゆう時…映画に中で女優さんが泡を手ですくってフ〜ッて飛ばすじゃない…

それがやってみたくて、やってみた…フ〜ッ!…泡が空を飛んで泡に着地する…

フフフ…そんな事をしながら自己満足の世界に浸っていたら、優介の手が泡の中をかいくぐって私に伸びてきて、私の腕を掴むと優介の方へと引き寄せる…お湯が波打ち周りに置いていたキャンドルが何個か消えちゃった…。

優介は私を後ろから抱きしめる…優介の唇が私の耳を触れる…

「愛してる…」

感触と一緒に鼓膜を揺さぶる言葉…体の芯が熱くなる…。

優介の指が私の乳房を刺激する…私の体はのけぞり吐息が漏れる…私の芯が熱くなりとろけそうになる…。

優介の瞳、手、指、胸…私の体に触れるたびに激しい愛が私の中に流れ込んでくる…。

私は自分から優介の方を向き、激しい口づけを交わす…深く長い口付け…

優介が私を抱きしめる、私の乳房は優介のその逞しい胸に触れる…私の中に優介が入り込んできて快感が押し寄せる…

激しいリズムに合わせてお湯は波打ち、キャンドルが一つ、また一つと消えていく…。

優介の鼓動、息遣いが私の声と混ざり合う…

体の内部から快感が浸透して、頭の先からつま先まで波紋のように広がっていく…。

優介が私の中で脈打っているのがわかる…

暗闇の中で優介は私を優しく抱きしめる…。

優介の伏せられた睫毛が月明かりに照らされて綺麗だった…。

私はそっとの優介の瞼に口づけをする…。

「優介…愛してる…」

私がそう言うと、優しい笑みを浮かべて優介が私の唇に自分の唇を重ねる…


泡を漂わせた水面の中で私達はとろける様な時間を過ごした…。

少しオレンジ色の混ざった月明かりの中で、指にはめられたリングが輝いていた。


この時…私自身、自分の体の中で起こっている異変に気付いていなかった…。





服部の事も佐倉の事もある程度落ち着いた…。

優介の仕事が忙しくなりつつあるなかで、麻未と優介は2人だけの時間を過ごし愛を深めていく。


このまま穏やかに終ればよかったのだけど…。

2人とって最大に課題が待っているかもしれない…

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