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悪しき風潮に感染した狂気

フ〜…顔が熱い…少し欲張って飲み物を飲みすぎちゃたかな…でもさすが、お料理も超一流で、少ししか食べなかったけど美味しかったな…。

優介はせっかく来たんだからって、料理をガツガツ食べてた…。

服部が優介をこのパーティーに呼んだのは、自分達が仲がいい事を見せて、あのときの汚名を晴らすためだったらしい…。

私を呼んだのは…優介との関係をばらす為だったらしいけど、優介が自分から私を婚約者だと発表してしまったものだから、それは服部の考えと少し違う結果になってしまったみたい…。


私は窓からの景色を見ていた…

小高い丘に建っているこのホテルからは景色が綺麗に見えていた…

不意に誰かに腕を捕まれて引っ張られる!

え!?誰?

そう思って振り向くと、そこには私の腕を掴んだ服部がいた…

え!?なんであんたが私の腕をつかんでるわけ!?

私はその手を振り払おうとした!だけど凄い力で掴まれ離れない!…それどころかそんな私の行動なんておかまいなしに、私の腕を引っ張ってすぐ近くにあったドアを開けて私をその中へ押し込むように背中を押す!

私はつんのめりながら、広い部屋の中に転んだ!

服部はドアを閉め、ドアを体で塞ぐように立つ!

私は急いで立ち上がると、ドアを開けようと駆け寄る!

だけど、服部の体が邪魔でドアを開けることが出来ない…

服部が私の腕をつかんで体ごと引きずられるような感じで引っ張って行かれ、部屋の中央に置いてあるテーブルの所までいくと、テーブルの上に両腕を掴まれながら体を押し当てらる!凄い力だった…

服部の表情は、冷たく怒りに満ちていて狂気に近いよう表情だった!

「神楽といい!お前といい!…俺をバカにするんじゃねぇよ!」

服部は私の顔のすぐ近くまで顔を近づけてそう言った!

「さっきはよくも恥をかかせてくれたな!…許さない…」

服部はそう言うと、思い切り私の頬を叩く!

痛さと同時に怒りを感じる!

「そうだ…お前を俺のものにしたら、神楽はどうするかな…ハハハ…見ものだな…」

服部の瞳は狂気に満ちていた…

あなたのものには絶対になりえない…もしもここで犯されたとしても…心までは自由にならない!

私は唇を噛みしめながら服部の手を振り払おうとした!

だが力に差がありすぎる…

「あなたには地位もあってお金もあって…なんでも手に入ると勘違いしてるかもしれないけれど…いくらお金を使い圧力をかけても、自由にならないものをあるのよ!」

私は服部の瞳を真っ直ぐに見つめて、そう言った。

「お前も神楽と同じ事を言う…むかつくんだよ!…俺は今まで望んだものは全て手に入れてきた!…だからお前の事だって簡単に手に入れらるさ!」

服部は私に首筋に顔を埋めてくる!

悲しい人…この人…何もわかってない!

私は思い切り、服部の股間を蹴り上げた!!!

服部は声も出ず、その場に蹲る。

私はそのスキに急いで部屋から出て、パーティー会場へと走った…。


私が会場に戻ると…優介は廊下に比較的近い場所で他の客と談笑していた…。

何人かの客は主役がいない事に気付いて騒がしくしている・・・

そこへ私の後を追うように服部が走り込んでくる…。

その服部の異様な雰囲気は、会場の誰もが感じ息を呑むほどだった!

私は服部のその異様さが気になり、一定の距離を保ちながら後をつける…。

服部は少しヨロヨロとしながら、バースディーケーキのある場所まで歩く…

その姿をみて声をかける者はいなかった、だたひたすら服部の様子を伺っている感じだった…。

服部はケーキの横に置かれていた、ナイフを握る…そしてそのまま振り返る!

その表情はまさに鬼を連想させた…。

「真之介!何をする気だ!?」

服部の父親がそう聞いたが…服部の耳には届いてないようだった…服部は会場内を見渡す

優介と目があったかと思うと、ニヤリと嫌な笑みを浮かべて、私の方を瞬時に見、突進して来る!

女性の悲鳴が聞こえる!

狂ってる!?…ナイフを振りかざし走ってくるその姿を見てそう思った。

私は突進してくる服部の狂気に満ちたその姿に体が凍りつき、身動き一つ出来なかった!

優介が私を守ろうと走り寄ってくる!…だけど一歩服部の方が早く私の腕を掴む!

周りからは「やめろ!」とか「落ち着け!」とゆう声が聞こえてきたけど、そんな言葉を聞くほどの余裕はもう服部にはない…。

息遣いは荒く、微かな笑い声が不気味に響く…

私と優介との距離、だいたい2メートルくらい…手を伸ばせば届きそうなのに…もの凄く遠く感じる

私の頭の後ろで興奮してる服部の息遣いが聞こえる…ナイフは私の首筋に当てられていた…。

「この女は俺のものだ!」

服部はそう言いながら、私の耳を噛む…もう言い方も動作も正気じゃない…

そんな服部の行動を見て、優介の表情は苦渋に歪む…

服部は優介のその表情を愉快そうに笑っていた…。

「なぜだ!?…麻未を離せ!…無事に開放さえしてくれればお前の言う事を何でも聞く!だからお願いだ…麻未だけは傷つけるな!」

優介は必死にそう訴える…服部はそんな優介の言葉を馬鹿にしたように笑う…。

「わかってないな…僕は服部グループの跡取りだよ…僕が何をしたって罪にならないよ!この世にお金で自由にならないものなんか一つも無いんだから!…それなに…あんたは、僕の言う事聞かなかった…この僕が共演したいって誘ってやったのに…断りやがった!!…許さないよ!…なんであんたばかりがチヤホヤされる!?…僕の仕事を全部取っていく!?…だから…だから…今回の映画はいい気味だった…どうせなら死んじゃえばよかったのに!」

その瞬間、服部に向けってフラッシュがたかれる!?

そのフラッシュに刺激されるかのように服部は私の首筋にナイフを食い込ませる…

痛みが走った…少し切れたみたい…。

こうゆう時に意外に冷静な私…恐怖よりもなんだか悲しみの方が強かった…。

優介は動けず何も言えず、表情が怒りと悲しみを混ぜたような表情をしている…。

「あんたの大事な女が死んだら…あんたはどうするのかな…クククク…」

服部はもう壊れている…いや…こうゆう人間を作り出してしまったのは、世の中の流れなのかもしれない…。

確かに多額のお金、自分の地位を揺るがすような圧力、自分の大事な者へ危害が加わるとゆう恐れの中では、黒を無理矢理白にしなければいけないような現実がこの世の中にはある…

そうやって悪しき風潮に感染した世の中で出来上がっていった人間が、服部なのかもしれない。


その時!私の後ろの方でグラスの割れる音がして、会場内に響き渡る!

誰かが、意図的にグラスを割ったらしい…

みんなの視線がその音の方に集中する!…服部も例外ではなかった!

一瞬、服部の腕の力が緩む!私は優介に向かって走った!!

優介も私の方に走ってくる!そして私の手をとって、私の体を庇うように自分の体の後ろへ私を隠す!

服部は私が腕からすり抜けた事に動揺して、すぐにナイフを振りかざしながら追ってきた!!

私を庇う優介に向ってナイフが光る!

え!?…一瞬…私の後ろから黒い影が飛び込んできて、それは優介の前へと入り込む!

ドスッ!

鈍い音…、その影は崩れるようにして床に転がった!

「佐倉?…佐倉!!」

優介の声が響き渡る!!

佐倉さん!?…いきなり飛び込んできた影は佐倉さんだった…

おびただしい血が床に流れる…服部はその光景にナイフを落とし立ち尽くして笑っていた…

服部の父親が来て、服部の目の前に立ったかと思ったら、思い切り服部の頬を拳で殴った!

服部は床に倒れるように転がり、父親の握られた拳は小刻みに震えていた…。

周りの人たちが服部を押さえつけ、床に押し付ける…服部は不気味に笑っていた…。

そんな服部の姿に向けられ沢山のフラッシュがたかれる…自分の汚名を晴らすために呼んだ記者達がこの事件の証人になってしまった…。


佐倉さん…やっぱりあの時私が見たのは…佐倉さんだったんだ…。

救急車が呼ばれ、佐倉さんは病院に搬送された…。

優介と私も救急車に乗り込み、病院に付き添った…。

優介はずっと、佐倉さんの手を握っていた…

刺されそうになっていたのがもしも私なら、きっと佐倉さんは飛び込んでこなかったはず…

優介だったから…きっと考えるよりも先に体が動いたのね…。


佐倉さんの蒼白した顔…大丈夫よね?…助かるよね?…

胸の奥が痛くて痛くて…苦しかった…。


少し合間があいてしまい申し訳ありません。


服部の罠は優介と麻未には通用しないかった…

全てを意のままに動かせると思い込んでいた服部は、意のままに動かないものへ対処のしかたを知らなかった…そしてその事への苛立ちと怒りが恨みへと形を変え、人間として壊れていってしまった…。

そして自分の仕掛けた罠に自分から足を突っ込んでしまった…。


できれば人を恨む事無く生きていきたいですね。

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