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プレゼントの中身は…

携帯の着信音…優介からだ!

私は急いで携帯に出る。

「もしもし…」

何の応答も無い…どうしたんだろう???

「もしもし…優介…」

私の問いにやっと答えが返ってきた。

「家の前にいるの?…うん…うん…わかった…今行くね」

ドライブに行こうって…なんだか元気が無かった…何かあったのかな?


今日は佐倉さんの事で色々あった…腕の傷はまだ痛む…その事を考えると心も痛い。

でもそのドタバタに紛れて、優介にプロポーズされちゃった…

瞬間、もの凄く嬉しくて…だけど優介が仕事に行った後…佐倉さんの事を考えていた…。

こんなに浮かれてしまっていていいのだろうか…そう思うと…素直に喜べない自分がいた。


私はアパートを出ると、階段を駆け下りる…下には優介の車が止まっていた。

私は優介の車に近付いて、ドアを開け助手席に乗り込んだ。

なんとなく優介の表情は硬く…真っ直ぐ前を見ていた…。

「少しドライブしよう」

優介は静かなトーンで真っ直ぐ前を見つめたままそう言うと、車を発進させる。

やっぱり様子がおかしい…何かあったんだ…でもその理由を聞けるほどの雰囲気に余裕が無かった。

私は優介の横顔をただただ見ていた…。

優介の手が私の手に伸びてきて、優しく掴んだ…

一瞬…思い出した…いきなり店に来て、私を車に乗せて海に行った事…

あの時もこうして私の手を握って、真っ直ぐ前を見て運転していた。

「…佐倉が…辞職した」

優介がボソッと淋しげな雰囲気を漂わせながら言った。

私は自分でも驚くほど、冷静に受け止めていた…

こうなる事はなんとなく予想していた…

優介の表情は怒っているような、悲しんでいるような…複雑な表情を浮かべていた。

「佐倉がお前にした事を許せはしない…その事には腹をたてている俺がいる…だけどそれとは別に俺が売れなかった時から一緒に頑張ってきた佐倉がいたことも事実で…」

そこまで言って、優介はため息をついた…。

優介の気持ちの全てを理解する事は難しい…でも私よりもずっとショックを受けているに違いない…


車は…見たことのある場所を走る…この道…これは…もしかして…

「さあ、着いた」

優介はそう言って、駐車場に車を入れる…

川の向こうに夜景が見える…そうここは私のお気に入りの場所…めげた時に来て元気をもらう落ち着く場所…

前に永井とお酒を飲みながら色々な話をした…あの場所…

なんだか笑えて来ちゃった…


「何笑ってるんだ?」

優介はそんな私を見ながら聞いた

だって…もしかしたら優介も私と同じ事感じてるのかな?なんてちょっと思ったから…。

「私…この場所、大好き…」

私がそう言うと、さっきまでの淋しい顔が少し消えて優介はにっこりと笑う。

「俺もこの場所が好きなんだ…」

優介はそう言いながら、目の前の夜景を見ていた。

フフフ…同じ場所を好きだとゆう感覚…不思議とビックリもせず、それが普通で自然であたりまえのようにさえ感じていた…。

「麻未も好きだって言うと思ってた…なんとなく…」

優介は鼻の頭をぽりぽりと人差し指で掻く…なんだか可愛い…。

偶然!?必然!?…ううん…どっちも違うような気がする…これが普通…そう普通…優介がこの場所を好きなことを前から知ってたようなそんな感じ…。

こんな小さな事に感動してる私って…変かしらね…。


優介がその時、小さな箱を取り出して、私の前に差し出す。

淡い綺麗なピンクの包装紙に包まれていた。

私は優介の顔を見つめる…

「プレゼント…」

優介は私を見つめて微笑んだ…。

「ありがとう」

私はそう言って、プレゼントを受け取る…。

「開けてもいい?」

私がそう聞くと、優介は子供がオモチャの箱を開ける時の顔のような表情を浮かべて頷く。

私は丁寧に包装紙をはがして、箱を開ける…中には…これは…指輪用のケースよね?

心臓が高鳴る…心が嬉しさでいっぱいになる!

私はドキドキしながら蓋を開けた!

え!?…はぁ???…何も入ってない…

優介を見ると、クスクス楽しそうに笑っている…何?またなの?

「からかってるの?」

こうゆう時にからかうなんて…もう!最低!!

私が怒った顔をしてると、優介が真顔になる

「…からかったわけじゃないよ…今日は忙しかったし…遅くて店も開いてなかった…それに、思ったんだ…気持ちを表現するのに物は必要ないって…俺はお前にこれから先の未来を…輝く未来をプレゼントしたい…そう思った…だからこの箱には見えないけど俺の決意ってゆうか約束が入ってる…」

優介は私を真っ直ぐに見つめながらそう言った…ちょっとビックリした…そして嬉しかった。

私の本当に欲しい物を知っていてくれる事が…ううん、同じ考えを持ってくれてる事が。

お金を出して買える物なら、必死で働いて稼げば手に入れることができるかもしれない…。

でも人の心はそういかない…だから私が望むもの…それは優介の気持ち…。

「そうね…物でなんか人の気持ちの価値を決めることはできない…」

私の心の奥底から優介へ愛おしさが吹き上がってくる…

優介の瞳…淋しそうな悲しい瞳をしていたあの時…あの時から全てが始まった…。

愛してる…言葉で言うのは簡単だけど…その言葉に思いを乗せる事は難しい…。

言葉にできないほどの思い…愛してる…そんな言葉では表現できないほどの思い…

私は優介の首筋に手を回し、自分から唇を重ねる…。

優介の手が私の背中に回ってきて、私の体は優介の方に引き寄せられる。

キャ!!

ビックリした…シートが勢いよく倒れたから…

私は優介から体を離して、思わず笑っちゃった…優介も笑っていた…。

「ちょっとあせっちゃったかな?」

そんな事を優介がボソッと言って、はにかんで笑っていた…。

可笑しい…

優介は私の手を引っぱって、自分の方に私を引き寄せる…耳元で鼓動が聞こえる

そのまま優介の手が私の着ていた服の裾から入ってきて、胸を触る…

包帯の感触がくすぐったい…。

私達は唇を重ねる…

優介の手がスカートの中から入ってきて、私のショーツを下ろすと…勢いよく優介が私の中へと入ってくる…

思わず私の口から短い声が出る…

優介の体の躍動感を感じながら、とろける様な愛に満ちた時間


月明かりの下、私達は心と供に体を重なり合わせた…。

川の水面には夜景の灯がユラユラと揺れていた…











優介からのプレゼンの中身は空だった…だけどのその中身にはそんな小さな箱には入りきれないような優介の思いが入っていた…。

麻未はそのプレゼントが何よりも嬉しくかった。

次回、優介に突然永井から電話がかかってくる…麻未と佐倉の件の時の借りを返せ!?

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