病院でのプロポーズ
「佐倉…お前の望んでる答えを出してやる事はできない…ごめんな…お前の気持ちが真剣だから俺も真剣に答えたいんだ…愛情とは違うかもしれない…だけど俺にとってお前の存在もかけがえのない存在だって事を忘れないで欲しい…一緒に頑張ってきた時間は忘れない…」
優介は佐倉の甲斐甲斐しく介抱する姿を見てそう言った…。
佐倉さんの手は震えていた…
「帰って…麻未さんを連れて帰って…少し時間をちょうだい…一人にして」
佐倉さんはそう言いながら立ち上がり、窓際まで歩いていくと、私達に背を向けて黙って立っていた…。
優介は悲しい表情で佐倉さんを見ていた…。
私達は佐倉さんのマンションを後にして、病院へと向う…
優介がタクシーの中で私の怪我を凄く心配していた…。
自分の傷だって決して浅くはないのに…
永井は優介に帰るように言われたのに、私の事が心配だからと強情について来た。
治療が終って廊下の椅子に座りながら、優介の治療が終るのを待っていた…。
永井は私の傍を片時も離れない。
「ねえ…こんな目にあっても神楽さんがいいの?」
永井がボソッとそう言う。
「正直、怖さはあるのよ…でもね、優介と一緒にいたい気持ちはもっと強くて…傍にいたいの…」
私がそう言うと、永井はため息を付いて私の横に座る…
そして不意に、頬に口づけをしてきた!?
私はビックリして頬を触りながら永井を見た…永井は悲しい笑みを浮かべていた。
「麻未さん、愛してる!」
永井は私を真っ直ぐに見つめてきた…永井の気持ちが私の心に突き刺さる。
私は何も言えないでいた。
「俺の目の前で愛の告白か?」
優介の声にビックリした!優介は治療が終って廊下に立っていた…。
永井は優介を睨む…止めてよ病院でケンカなんて…私はヒヤヒヤしながら2人を見ていた。
「永井…今日はありがとう…そして約束を守れなくて悪かった」
優介はそう言って、永井に頭を下げる。
永井は鼻で笑いながら目を伏せる。
「今回の借りは高くつきますよ!…また連絡します…じゃあ麻未さんの事を頼みましたよ」
永井はそう言い残して、私達に背を向けて歩き出した…
私に向けられる永井の真っ直ぐな気持ち…でもそれに答えられない…私は…私は…ごめんね
「後を追わなくていいのか?」
優介の言葉に私は驚いて、優介の顔を見る…悲しい瞳…優介の気持ちが伝ってくる
自分のせいだと思ってる…俺なんかよりも永井の方が安全だって思ってる…馬鹿ね…
私は微笑みながら頷いた。
「麻未…ごめんな…」
優介は私の包帯を巻いてる場所を優しく摩りながらそう言った。
「優介…私が選んで勝手に行ったんだから…だからねあまり自分を責めないで」
私は優介の頬を摩る…優介の瞳が真っ直ぐに私に届く…。
優介の怪我した手…私はその手を優しく握る…そして口元に持ってきて優しくキスをした。
優介は少し驚いた顔をして、微笑んむ…そして私の横に座ると優しく肩を抱きしめた。
私は優介の肩にもたれかかりながら、静かに目を閉じた…。
優しい時間が流れる…なのに、心の中に残るわだかまり…
あの時の…優介と澄香さんの乗っていた車の事を言った時の佐倉さんの態度…
真意はわからない…実際はどうだったのか…
だけど、それを表に出して…どうなるだろう…優介をもうこれ以上傷つけたくは無い…
佐倉さんが関係がないならいいけど…もしもあったら!?
そう…優介の事を考えたら、これ以上詮索はしないほうがいい…
私はそのわだかまりを心の奥底にしまい込んだ…。
「麻未…ずっと俺の傍にいてくれるか?」
優介が優しい声でそう言った…え!?今のはもしかしてプロポーズ?
「今のはプロポーズ?」
私がそう言うと、優介は椅子を立ち、私と向かい合ってしゃがんだ
「俺はお前と一緒にいたら絶対に幸せになる自信がある…だから結婚しよう!」
フフフ…可笑しい…君を幸せにする!じゃなくて…俺が幸せになれる!…だって
正直な人…飾らない人…そうゆう所が大好き!
私は優介の唇に口づけをする…優介は私を抱きしめ深い深い口づけをしてくる
体が熱くなる…
え!?何?携帯の着信音!?
優介が自分の携帯を慌てて見る…メールだった
「やべ!社長からだ…打ち合わせの途中だったんだ!ごめん…後で連絡するから!」
優介はそう言いながら、私に投げキッスをして走ってく…
早い早い…あっとゆう間に見えなくなってしまった…
私はなんとなく自分の唇を触っていた…フフフ…結婚だって…心が温かくなった…。