表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/64

歪んだ愛情

携帯が鳴る…誰だよ?…今、打ち合わせ中なの!

俺は着信を無視する…

だけど、またすぐに電話がかかってくる…しつこいな…誰だよ!?

「すいません…」

俺は席を立ちながら、携帯に出た…。

「はい、神楽です…永井?…何だよ?…はあ!?…ちょ、ちょっと待て…」

今、佐倉って言ったのか?…麻未に佐倉から電話があったって!?

俺は事務所から出て、話を続ける

「佐倉から、麻未に電話があったのか?…ああ…それで…うん…うん…え!?」

俺の中に悪い予感が走る…

麻未が急いでタクシーに乗って!?…あいつ!!…まったく…

「今、何処を走ってる?…ああ…わかった…俺も向かうから…」

俺はため息をついた…麻未は俺に心配かけまいと1人で佐倉に会いに行ったんだ…

佐倉は…何をいまさらやろうとしている?…頭の中を嫌な予感が支配する…

俺はそれを振り払うように、首を振った…

俺は事務所に戻る…

「社長…ちょっと急用で…出かけてきます…申し訳ありません。」

俺は社長の制止も聞かずに、事務所を飛び出した!

麻未…頼むから、無事でいろよ!…俺は心の奥底からそう願った…


 ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞ ∞


佐倉さんのマンション…ご丁寧にも場所まで教えてくれた…

宣戦布告!?かな…

私はドアの前で深呼吸する…

ピンポーン!

私はチャイムを鳴らす… 

中から、鍵を開ける音がして、ドアが開いた…

佐倉さんが顔を覗かせる…佐倉さん…少し痩せたみたい…

「どうぞ…」

佐倉さんの声に私は部屋に入った…

リビングに通され、私はソファーに座った…。

「私に何のご用ですか?」

私はイライラして先を急いでいた…いや違う…恐怖から逃げようとしていたのかもしれない。

佐倉さんは、そんな私を見て、意味ありげに笑った…

「優介と私はずっと2人でやってきた…売れてない時から、ずっと傍にいたのは私…澄香がいなくなって、やっと優介を独占できると思ったのに…なんで!?あんたみたいな小娘が!たかが澄香と似てるってだけで!!なぜあんたなのよ!」

「優介は物じゃないわ!…誰の物でもない…その考えか方が間違ってる!」

私は佐倉さんを睨みながらそう言った。

「澄香…あの女にどれだけ苦しめられたか…死んでせいせいしてたのに!…次はあんたみたいな女が現れて!」

その言葉に、私が前から気になっていた疑問が頭に浮かぶ…

「まさか…貴女が優介と澄香さんの乗った車に細工したわけじゃないわよね?」

私は佐倉さんを見つめながらそう聞いた!

佐倉さんは目を見開いて、殺気に満ちたその目で私を睨み、手に持っていたカップを私に目掛けて投げつけてくる!

その佐倉さんの目が物語ってるものは何なのか…

私は、咄嗟にそれを避けて、ソファーの下に転がった…その時、奥の部屋が目に入る!?

一瞬、寒気が走った!

部屋の壁一面に優介の写真…それと…私の写真…ナイフが突き刺さっていた!

逃げなきゃ!咄嗟にそう思った!

私は玄関に向って走り出す!だけど、私の前を塞ぐように佐倉さんが立ちはだかった!

いきなり佐倉さんの平手が私の頬に飛んでくる!

もの凄い力…手加減無しだった…

私は床に叩きつけらるようにして倒れる…そして思い切り腹を蹴られて、息ができない!

「クッ…ウゥゥ…」

佐倉さんは台所に歩いていくと、包丁を手にした…

その姿を見た時、恐怖よりも強い悲しみを感じた…佐倉さんの悲しい姿…

私は佐倉さんと目を合わせながら、ゆっくりと立ち上がる…

佐倉さんがゆっくりと私に近づいてくる…

私はゆっくりと後ろに後ずさる…あ!?私の後ろにソファー…もう後が無い!

ドンドンドン!

その時、ドアを激しく叩く音が響き渡る!

「麻未!麻未!?…佐倉!てめぇ!何してる!ここをあけろ!」

優介の声だった…

私は玄関に向かって猛然とダッシュする!だが、佐倉さんが玄関に先回りして包丁を振り上げた!

あ!?

私の目前に振り下ろされる包丁!咄嗟に手でそれを庇った!

「つぅっ!」

腕に痛みが走り、血が流れた…

私は腕の傷を抑えて、必死で痛みを堪える…

佐倉さんはそんな私の姿を見て、唖然としていた…手が震えている…。

私は意を決して、佐倉さんに体ごとぶつかっていっく!

佐倉さんは後ろに飛ぶように倒れた!

私は痛みを堪えながら、玄関に飛んで行き、鍵を開ける!

ドアが開いて、優介が飛び込んできた…それから永井も…あ!そうか…永井が優介に知らせてくれたんだ…

私は気が緩んだせいか、足の力が抜け、ヘナヘナとその場に座り込んでしまった。

「麻未…大丈夫か?…お前は、まったく…」

優介の慌てた声…私の傷を見て悲しい顔をすると、ハンカチをだして傷の部分に当てる

そしてゆっくりと佐倉さんの方を見ると、立ち上がった…

後姿が怒りのオーラに包まれていた…。

永井が私を抱えるように立たせてくれて…守るように肩を抱いてくれた…。

「佐倉…」

優介は悲しい響きのある声で、佐倉さんの名前を呼ぶ…。

「来ないで!!…来ないで〜!!!」

佐倉さんはそう絶叫しながら、自分の首に包丁を当てる…

「なぜ!?なぜなのよ?…私じゃなぜ駄目なの?…澄香の時だって必死で耐えたのに…やっとあの女がいなくなって安心してたのに…なのに!澄香に似てるってだけで…私の優介を取ってしまった!!…嫌よ!」

佐倉さんは震える手で包丁を持ちながら、泣きながらそう言った。

「…佐倉…愛情にも色々な形がある…俺はお前を信頼していた…仕事のパートナーとしてかけがえになに存在だと思っていた…そんなに俺を苦しめたいのか?…それがお前の愛なのか?」

優介の苦痛な叫びが心の中から聞こえてくる…

佐倉さんの優介への思い…歪んでしまった愛情…

「優介が…私の物にならないなら…死んだほうがましよ!」

佐倉さんは自分の喉目掛けて、包丁の刃を向ける!

優介がそれと同時に、佐倉さんの懐に飛び込んだ!

ポタ…ポタポタ…

床に血が落ちる…佐倉さんの持っていた包丁の歯を優介は素手で掴んでいた…

「優介!!」

佐倉さんの叫び声とともに、包丁が床に転がる…

佐倉さんは、自分の来ているブラウスを引き裂くと、優介の手のひらの傷を包むように巻く…

その必死さ…優介を傷つけてしまって、咄嗟に出た行動…

たぶん…これが佐倉さんの本当の優介への思い…

いったい…どこで歪んでしまったんだろう…

私を傷つけてしまった時のあの表情…手が震えてた…自分の行動に対して恐怖を感じてる目だった…


愛情は時として人の感情を狂わせる…

誰もがそんな危険を持ちあわせている…

私だってもしかしたら…絶対に大丈夫とは言い切れない…。

佐倉さん…悲しい人…


優介を必死に介抱する佐倉さんを見て私はそんな事を思っていた…。

佐倉のマンションで麻未は佐倉に襲われる!

永井のおかげで、優介と永井に助けられた…

佐倉の歪んでしまった愛情…麻未はその姿に悲しさを感じた。

次回、優介と麻未が2人で訪れた病院で…愛情を確認しあう?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ