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笑いで花を咲かせましょう

ちょっと早く来すぎちゃったかな・・・・。

まだ1時45分か・・・・

私がいつもの席に座ってからそろそろ15分位になる


結局、昨日は緊張のあまり全然眠れなくて、寝坊して何も用意も出来ないまま仕事に行って、そのまま来ちゃったから、なんなんだろうこの格好は・・・

髪型も決まってないし、服だってちゃんと用意してあったのに、慌てすぎてそれを着てこなかったし・・・・

初めてまともに会えるって言うのに・・・・


まあ、でもデートとゆうわけでもないんだから、あまり気合を入れすぎても可笑しいかな・・・・。

そうよね・・・向こうはお礼にってゆう気持ちなんだから。

勘違い女にだけはなりたくないもんね!


フワッと外からの風が緩やかに店の中に入ってきて、私は喫茶店のドアの方に目をやる。

来た!!あの人が入って来た!!!

私の心臓は、もうすでに最高潮に鼓動して、それを必死に抑えるのがやっとだった。

神楽さんはスラッとした身長で、歩き方や身のこなしがとても絵になる・・・・。

やっぱり俳優さんなのね・・・持ってる雰囲気が違う・・・・。

あの時は悲しい瞳の方が印象的で気が付かなかったけど・・・・


神楽さんは私に気付き手を上げてニッコリと笑うと、私に近づいてきて向かい側に座る・・・・。

ど、どうしよう・・・・まともに見れないよ・・・・。

何を話していいのかもわからない・・・

私がそんな風にオロオロしてる事に神楽さんが気付いたのか、最初に口を開いたのは神楽さんの方だった。

「初めまして、神楽優介です」

神楽さんは私の方を見て、そう言うとニッコリと笑った。

「・・・は、は、初めまして、羽生麻未です」

そんなオロオロした状態で自己紹介から始まった。


神楽さんがコーヒーを頼み、私は紅茶を頼む・・・・

私はテーブルに置かれた神楽さんの手ばかり見ていた

それ以上、視線を上げる事がどうしてもできなかった。

「ねえ、いくつ?」

神楽さんのいきなりの質問に、一瞬ドキッとした・・・・こんな一言一言にドキドキしてたら、身が持たないわよ・・・・しっかりしなさいよ!麻未!

と自分に言い聞かせる

「私は24歳です」

「へえ〜・・・・俺よりも7つ下だね・・・・じゃあマミって呼び捨てにしてもいいかな?」

へ!?・・・・ちょっと待って・・・・・

私はその言葉に一気に冷静さを取り戻す・・・。

「あの・・・呼び捨てはちょっと・・・・・私、自分の彼になる人と家族以外にそう呼ばれたくないんです!」

あぁぁぁぁ〜・・・・・言っちゃった・・・・。

この融通の利かない性格はどうにかならないものか・・・・自分でもいつもそう思う。

こんな事を言ったら、嫌われるよね?絶対に!・・・・もう駄目だ〜・・・・

私は恐る恐る、神楽さんの表情を伺う。

神楽さんは、楽しそうに笑っていた・・・・。

「じゃあ、彼氏に立候補しようかな?」

神楽さんの口からそんな言葉が飛びだした!

え?・・・え??・・・・え〜???

私の瞬きの回数が一気に増えたような気がした!!

そんな私の表情を見て、神楽さんは噴出し大笑いしている・・・・


あ?・・・あ〜・・・そっか・・・・そうだよね・・・からかわれただけなんだ・・・・

なんだかズシーンと心が重くなる、別に期待なんかしてない・・・・けど・・・けど・・・・

あ、あれ!?・・・・やだ、涙が・・・・どうしよう・・・・

私は自分が泣いている事に気付いて、慌てふためいた・・・・。

そこへ神楽さんがハンカチを私に差し出した。

「ごめん・・・いたずらが過ぎた・・・・謝るよ・・・」

神楽さんが心配そうに私の顔を覗き込みながらそう言った。

「・・・大丈夫ですから」

私は差し出されたハンカチで涙を拭きながらそう言った。

「本当に?」

神楽さんはそう言って、私の顔を見つめながら顔を近づける・・・

う、うわぁ!ち、近い!!

顔が熱くなるのを感じる・・・・そして私は慌てふためき、椅子ごと後ろにひっくり返った!

イタタタタ・・・・

「大丈夫?」

そんな神楽さんの言葉なんて聞ける余裕がなかった・・・・

は、恥ずかしい!!!!

神楽さんは、私を立たせて、優しく椅子に座らせてくれる・・・・

それは嬉しかったけど、また笑われちゃった・・・・ハハハハ

「何の仕事してるの?・・・・もしかしてお笑い?」

神楽さんが自分の言った言葉に一人で笑ってる

「馬鹿にしてます?・・・まあドジだからしょうがないけど」

「ごめん、ごめん、俺の悪い癖なんだ・・・ついついからかいたくなっちゃうの!・・・・本当にごめん・・・・・まじめな話、仕事は?」

「駅前にある花屋で働いてます」

神楽さんは、記憶を手繰りよせるような仕草を見せて、それから一人で納得していた。

「麻未ちゃんてほんと可笑しいな・・・一緒にいると飽きないし楽しいよ!また会ってくれると嬉しいんだけど・・・」

へ!?・・・今の言葉は!?・・・

私は思わず、自分の頬を思い切りつねった!

イタ〜イ!!

そんな馬鹿なことをやってる私を見て、また神楽さんは楽しそうに笑っている。

そして神楽さんの手が私の頬に伸びてきて、つねった方の頬を優しく撫でてくれた・・・

頭から湯気があがるんじゃなうかと思うくらい顔が真っ赤になってるのが自分でもわかる。

「麻未ちゃんて・・・・・」

神楽さんはそう言いかけて、口をつぐんだ・・・


え!?・・・・・どうしたの?


神楽さんは私の頬からスッと手を離し、窓の外に目をやる・・・・

あの時と同じ悲しく淋しい目をしている・・・。


「何かあったんですか?」

私は思わず、その言葉を口にしていた・・・。


神楽さんは私の方を見つめる・・・ん!?・・・違う!?

違う・・・私を見てるんじゃない・・・・

何?・・・


「ごめん、悪いけど、今日は帰るわ・・・・またメールするから」

神楽さんはそう言って席を立つ・・・。


うそ!?私、何か悪い事言った?聞いちゃいけない事だった!?


私も慌てて席を立ち、神楽さんの後を追う・・・・

神楽さんは店を出た所で立ち止まって、私を方を見つめていた・・・。

正確には私じゃないような気がする・・・

「今日はありがとう、楽しかった。また今度!」

神楽さんは悲しく微笑みながらそう言い残すと雑踏の中に消えていく・・・。

何だろう・・・神楽さんのあの悲しい瞳・・・・・何を見てたんだろう・・・・


私は神楽さんの背中を見えなくなるまで見つめていた。










今回は書いてる私も楽しかったです。

こんな娘が友達だったら、楽しいだろうな・・・

なんて思いながら書いてました。

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