優しいお邪魔虫!?
「ハックシュン!」
優介がクシャミした…クスクス…このままでいたら風邪ひいちゃうね…
私達は床に転がったままで顔を見合わせてクスクス笑った…
優介の携帯の着信音が遠くの方で鳴っている…さっき壁に投げつけたけど、幸い壊れなかったらしい…
優介は裸のままで寝室に携帯を取りに行く
「もしもし…駿!?…は!?……おい!おい!…切りやがった!」
優介が慌てた顔をして私の所にくる、そして私を抱き上げるように起こすと、軽くキスをする
「駿と、竜太が来る!」
は!?…来るって?…ちょ、ちょっと…えっと、服を着なきゃ!
私は脱ぎ捨てていた服をかき集めて、急いで寝室に行って服を着始める…
優介もクローゼットから服を出すと、着替え始める…
クスクス…笑ってる場合じゃないのに…なんか笑えてしょうがなかった
二人して、裸で慌ててる…これがとっても滑稽で…
ピンポーン!…チャイムの音…
優介は上半身裸でシャツを片手にモニターを見る…そして私の方を振り返る
「開けるぞ…いいか?」
私は慌てた…慌てるとろくな事がない…急いでブラウスを着てボタンを締める…
あ!?髪の毛…纏めてたゴム…ゴム…無い!…私は床に四つん這いになりながら探す…
その時、ドアが開いて、入ってきた長谷川さん達と、四つん這い状態で顔を上げた私と目が合った…
一瞬、私達の間に気まずい沈黙…そして長谷川さんが意味ありげにニヤニヤしながら優介を見ていた。
「麻未ちゃんが来てたんだ…もしかして俺達お邪魔虫だった?」
長谷川さんはおどけた表情でそう言った。
私はとゆうとやっと見つけたゴムを拾って、立ち上がると洗面所にこもった…
顔が熱い…ばれたかな…だよね?…はぁ〜…私はため息をつきながら、髪の毛を纏めた。
あ!?あ〜!…ブラウスのボタン掛け違ってる〜…見られたかな?
私が洗面所から出ると、3人ともソファーに座って、机の上に長谷川さん達が買ってきたビールやつまみが並んでいた…。
「優介…私は帰るね…」
私がボソッとそう言うと、長谷川さんが立ち上がって私のほうに近づいてくる
黒崎さんは口に手をあてて、クスクス笑っていた…
「麻未ちゃん、一緒に宴会しよう!男ばかりだとつまらないからさ…」
長谷川さんは私の肩を抱くようにしてそう言った
「こらこら…その手を離せ!」
優介が長谷川さんに口を尖らせながらそう言った。
長谷川さんは優介のその過剰反応がおもしろかったらしく、余計に私を自分の方に引き寄せた。
優介は手元のあったタオルを長谷川さんに向けて投げつける!
長谷さんはそれを軽々とかわす!タオルは後ろに飛んでいった…
私は長谷川さんに手を引かれながらソファーの所まで行くと、優介の隣に座る…
優介、長谷川さん、黒崎さん…3人が顔を見合わせて、ちょっと悲しい雰囲気のある意味ありげな表情を浮かべて鼻で笑った…
それぞれにビールを開ける…
「辞めようかな…」
黒崎さんの口からそんな言葉がボソッと飛び出た…
優介はその言葉に悲しく目を伏せる…長谷川さんがため息混じりに鼻で笑う。
「なぜ!?…なぜ…あのクソヤロウが!」
いつも冷静で淡々としている黒崎さんが、そんな激しい言葉を言った…
普段は自分の気持ちを内に秘めて外に出さないけど、優介と同じで自分の気持ちに正直で不器用なタイプなのかもしれないな…
「心配かけて悪いな…お前達がいてくれて心強いよ」
優介がそう言いながら弱々しく微笑んだ…
「本当にそう思ってる?…麻未ちゃんさえいればそれでいいって思ってたりして」
ハハハハ…正直そう思われてたら嬉しいかも…
長谷川さんが優介を冷めた目で見ながらそう言った…優介は鼻で笑う。
「駿…やきもち妬くなよ…」
優介がそういいながら笑った。
黒崎さんは1人でビールをグイグイ飲んでいた…
「兄貴…聞いたよ…水、ぶっ掛けたって!」
黒崎さんはそう言いながら、冷たい笑顔を浮かべる
「ああ…あれね…今回ばかりは…どうしたらいいか…」
優介は少し辛そうな表情を浮かべながら、ビールを一口飲んだ
「不器用でどうしようもないけど…俺はお前のそうゆう所が大好きだぞ!」
長谷川さんは照れもせず、優介を真っ直ぐに見つめてそう言った
優介はその言葉に優しく微笑む…
「そんな事…言われなくてもわかってる…いっそのこと結婚でもするか?」
優介がそうおどけた表情で言った
「そしたら…麻未ちゃん、もらっちゃいますよ!」
黒崎さんの口から意外な一言が飛び出し、優介も長谷川さんも私も黒崎さんの顔を見た!
黒崎さんは、自分に視線が集中してる事に気付いて
「…冗談だよ」
いつものように冷たい口調でそう言った
優介はため息をついて俯いた…
「わかりずらいんだよ!」
長谷川さんはそう言って、黒崎さんに突っ込みを入れていた。
私はその3人の光景を見ながらクスクス笑っていた
長谷川さんも黒崎さんも、色々な業界の噂やあの記事を見て、優介の事を心配して来たんだろうなあ…
この3人に流れる雰囲気にそれぞれの思いが漂って、手に取るようにそれを感じた
優介が柔らかく笑ってる…よかった…
私の中にまだわだかまりは残っていたけど怒りは消えていた…
ただ全てが解決したわけじゃない…誕生日パーティー…何をするつもりなんだろう…
それを考えると、不安でたまらなかった…。
優介を心配して駿と竜太がマンションにやって来た。駿と竜太の優しさに触れ、優介は笑みを浮かべる
だが麻未の中にはまだ不安があった
次回、麻未に電話がかかってくる…その相手とは!?