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心と一緒に重なる体

空には一番星が出ていた…


優介はあのまま、私を自分のマンションに連れてきて…

窓の外を見たまま動かない…あの状態でもう1時間になる…

私はその姿をソファーに座って見ていた


たぶん、あの週刊誌が原因だと思う…それはなんとなくわかってる


あ!優介の携帯が鳴ってる…優介が電話に出た…

「はい、神楽です…ええ…はいはい……何を…ちょっと待って下さい!社長!…どうして俺なんですか?他にもいるでしょう?……いいかげんに…して…くれよぉ!!!!」

優介はそう言って、大きな声で怒鳴ると、携帯を壁に向って投げつけた!

その音に驚いて、私は固まる…

凄く怒ってる…話しかける事ができないほど…

優介は怒りを床にぶつけるみたいに、大きな足音をさせてバスルームに向う…そしてバスルームのドアを勢いよく閉めた!

水の流れる音…

優介がこんなに怒ってる所ははじめて見る。


優介がバスルームから出てきた…何!?服を着たままでシャワーを浴びたの?

来ている服がベチャベチャに水浸しになっていた…

優介はそんな事も気にせず…そうじゃないそんな事まで気が回らないような感じで、ただその場に突っ立っていた…

私はバスルームからタオルを持ってきて、優介の体を拭く…頭までは手が届かない…

私が一生懸命背伸びしてると、優介が私の伸ばしている腕を掴んで私を壁に押し当てた!

そして私の唇に激しく口づけをする…優介の怒りが伝わってくる…

優介は私から顔を離すと、悲しい表情して鼻で笑った…そして両手で自分の顔を覆いその場にしゃがみ込んだ…

私も同じようにしゃがみ込み、優介の頭を撫でた

「俳優辞めようかな…いや駄目だ…それはできない…はぁ〜…」

優介はため息混じりにそう言った…かなり辛そうに見える…

「何かあったの?」

私はもの凄く気になっていた事を、できるだけ優しく聞いた…

優介は私の顔を見る…数秒の間、ただ見ていた…そして口を開く

「この間、服部と対談して…事故の話になった時、あまりにも腹が立って、編集者に水をぶっ掛けて帰ってきたんだ…それで今日、その雑誌を見たら…嘘ばかりが並んでて…いいかげん嫌になった…そしてさっきの電話、服部の指名で俺にあのクソヤロウの誕生日パーティーに出ろとさ!…なあ…どうしたらいい?…俺が俳優を辞めて済む話なら簡単なんだけど…アイツの事だ、何をやらかすか…」

優介は疲れきったように、床の上に大の字になるとため息をつきながら天井を見た

確かに社会に出たら思い通りになら無い事が沢山ある…だけど、今回の事は少し違う…どう考えても優介を集中攻撃してる!…あの服部ってヤツはいったい何がしたいのよ!

私は腹立たしさを感じた…服部なんとか!平手の一発も食らわせたい!

私は怒りが納まらず、立ち上がった!

「優介!その服部なとかの事務所教えて!」

私の言葉に優介は上半身を起こす。

「何で!?」

「何でって!?菊の花束を服部なんとかに叩きつけてやるのよ!」

私の奥底から沸々と怒りが湧き出てきて…腹が立って腹が立って!

私は玄関に向って歩き出した…

「ちょっと待て!」

優介が慌てて立ち上がって来てそう言いいながら私の手を掴む

「なぜ!?」

私は優介の方を振り向いた…優介は私を心配そうに見つめていた。

「お前に何かあったらどうするんだ?」

「だって!優介がこんなに苦しんでて…それなのに…今度は自分の誕生日パーティーなんて!」

私は自分でも驚くくらい怒っていた…自分で言うのもなんだけど…優介よりも冷静なはずのに…

「駄目だ!ここにいろ!」

「だって!…」

そう言いかけた時、優介の唇で私の口が塞がれる!?

そしてそのまま壁を背に私の体を押し当てた…優介は私から顔を離す…

「お前は…俺の傍にいろ…な?」

優介の瞳が優しい光を放っていた

優介…吸い込まれそうな瞳…体が熱くなる…

私は優介の瞳を見つめる…

優介は私の髪の毛に口づけをする…優しい感触…

唇がだんだん下に下りてきて…額…瞼…耳…とろける様な感覚…

優介の唇が私の唇に重なる…深い深い…長い口付けだった…

やがてそれは激しい愛撫へと形を変えていく…

お互いに気持ちは高ぶり溢れ出す…

優介が私の服を…私が優介の服を脱がせる…

私を床に押し倒すようにして、私達は心と一緒に重なり合う…

床はひやんりと冷たかった…

優介の唇が私の唇に重なる…お互いに怒りを帯びてるせいか…それはいつになく激しかった。

優介の顔…たくましい胸…そして腕…優介の唇が私の顔の輪郭をなぞる…

あたたかい感覚…優介が私の中へと入ってくる…突き抜けるような快感が体を襲う…

私の口からは無意識に吐息が漏れる…

優介のリズムと一緒に思いが体を伝って、心の奥底に浸み込んで行く…

私の肌は熱を持ち、優介の鼓動が早くなっていく…

心の中に優介の思いが広がり…体がそれに反応するように快感が打ち寄せてきた…

優介の体は脈を打ち…私の顔を見つめて微笑んだ…そして軽い口付け…

「ずっと…俺の傍にいろ…いいな?」

優介は優しいトーンでそう言った。

私は優介の胸に手をあてる…

「優介が嵐に巻き込まれても、私がしっかりと手を握って引っ張り上げてあげる…」

私はそう言って、優介の胸に額をくっつけた…

「…夢の中で…手を掴んでくれたのは…やっぱりお前なのかもな…」

優介は聞こえないくらいの小さな声でそう言った…

私は顔を上げて何て言ったのか聞いたけど…ただ微笑むだけで教えてくれなかった…

優介の手が私の頭に伸びてきて、そっと撫でる…心地いい感触だった…


私と優介は、裸のまま床の上で丸くなりながら抱き合った…







優介は服部との対談、記事の偽り、そして誕生日パーティー…どうしていいのか自分でもわからなくなっていた…

麻未はそんな優介を見て、珍しく怒りを露にする。

次回、二人が抱き合いまどろんでいる所に、邪魔者現る!?

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